再考築<1>:「目的と手段」

2007.07.11

組織・人材

再考築<1>:「目的と手段」

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

【弊著・予告編】あなたの人生にとって、もしくは、あなたが関わる事業組織にとって、金儲けは目的ですか?手段ですか?

ピーター・ドラッカーは、何と言ったでしょうか。

●「事業体とは何かを問われると、たいていの企業人は利益を得るための組織と答える。
たいていの経済学者も同じように答える。この答えは間違いだけではない。的外れである」。「利益が重要でないということではない。利益は企業や事業の目的ではなく、条件である」。 
・・・『現代の経営』より

ドラッカーは、企業や事業の真の目的は社会貢献であると他で述べています。
その真の目的を成すための基本「条件」として利益が必要だと、
そう言及しているのです。

また、松下幸之助や渋沢栄一は、何と言ったでしょうか。

●「本質的には利益というものは企業の使命達成に対する報酬としてこれをみなくてはならない」。
・・・『実践経営哲学』より

●「徳は本なり、財は末なり」。
「成功や失敗のごときは、ただ丹精した人の身に残る糟粕のようなものである」。
・・・『論語と算盤』より

松下幸之助は、ご存知のように、独自の『水道哲学』を強く抱いていました。
松下にとって事業の主目的は、豊かな物資を通して人びとの暮らしを幸福にさせることであり、
副次的な目的としては、雇用を創出し、税金を納める(=社会を強く安定させる)ということでした。
そして、そうした目的(松下は“使命”と言っていますが)を果たした結果、
残ったものが利益であり、それを事業者・経営者は報酬としていただくという考え方でした。

また、日本資本主義の父と呼ばれる渋沢栄一は、
財は末に来るもの、あるいは糟粕のようなものであると言いました。
仁義道徳に基づいた目的や、その過程における努力こそが最も大事であって、
その結果もたらされる財には固執するな、無頓着なくらいでよろしいというのが、
渋沢の思想です。

金儲け・利益を仕事上、あるいは個人の人生上でどのように位置づけるかは、
結論から言えば、目的にもなりえるし、手段にもなりえる。
また、条件、あるいは成果・報酬・恵みにもなりえます。
おそらくは4つの要素の複合的な構成でとらえられるものだと思います。
要は、どこに比重をおくかでしょう。

私にとって、この本が多く売れることにこしたことはありませんが、
「売る」ことを主の目的にしているわけではありません。
それよりも、自分の考えを世に著し、
世のビジネスパーソンたちに何かポジティブな行動変容を促すことができればよい
それが最大の目的であり、やりがい、喜びとなります。
そして、たまたま印税がいくらか入るのであれば、「ラッキィ」ということです。
そうした意味で、私にとって、この著書を通しての利益は、結果的な「恵み」ととらえています。

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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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