今日は、アクセシビリティについて。アクセシビリティは「コスト」であるととらえられていることが多いでしょう。しかし、視点を変えれば、そこに「チャンス」もあるのです。
現状では民間企業の多くはまだまだアクセシビリティへの対応が遅れているのが現状です。そういった状況であなたの会社のサイトがアクセシビリティに対応すれば、「あの会社はわかっている」と、障がいをもつ方がファンになってくれるのではないでしょうか。つまり、アクセシビリティに対応して、そのことを周知することが、「コスト」ではなく「チャンス」になるのです。
前出の「身体障害児・者実態調査結果」から、現状で障がいのある方がどれくらいWebを使っているか見てみましょう。
障がいの種類別にみた情報の入手方法(複数回答)
視覚障がい 肢体不自由
一般図書・新聞・雑誌 26.9% 61.8%
ホームページ・電子メール 6.6% 9.1%
テレビ(一般放送) 66.0% 82.6%
障がいの種類別にみたパソコン利用の状況
視覚障がい 肢体不自由
毎日利用する 7.4% 9.1%
たまに利用する 5.0% 7.5%
ほとんど利用しない 3.2% 4.0%
全く利用しない 72.6% 64.9%
回答なし 11.9% 14.5%
まだまだ利用は少ないのが現状です。逆にいうと、それだけ、障がいのある方には現在のウェブは使いづらい状況だということを示しているともいえます。読売新聞でも、2009年1月に「読み上げソフト 対応まだまだ」という記事で、アクセシビリティへの対応が地方自治体のWebサイトでも遅れている部分があることを指摘しています。
超高齢者社会となった日本で、多くの企業がWebアクセシビリティに対応していくことで、さらにウェブの世界が良くなり、ひいては市場を拡大できるのではないでしょうか。
たとえば、昨年のWeb担オフラインミーティングに参加されたNPO法人ハーモニー・アイさんは、「だれでもが使える情報コミュニケーションを目指して!」をキーワードに、視覚障害者や高齢者がモニターとなってのWebサイトユーザーテストや、アクセシビリティの研修や講習をするいっぽう、高齢者や視覚障がい者向けにパソコン教室を開いています。
また、以前にワールドワイドウェブコンソーシアムが発表したWCAG 2.0のことをお伝えしましたが、日本のJISで制定されているWebアクセシビリティ「JIS X 8341-3」も、WCAG 2.0をほぼそのまま採用する形で2009年秋に改訂される予定です。それに関して、ロクナナワークショップが「JIS X 8341-3」草案を徹底研究するセミナーを2009年2月17日に開催します(インフォアクシアの植木真氏による講演)。
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2009.02.10
2015.01.26
安田 英久
株式会社インプレスビジネスメディア Web担当者Forum編集長
企業のウェブサイト活用やウェブマーケティングに関するメディア「Web担当者Forum」(http://web-tan.forum.impressrd.jp/)を運営しています。