ノキアの敵はロレックス?
 プレミアムブランド戦略「VERTU」

2009.02.07

営業・マーケティング

ノキアの敵はロレックス? プレミアムブランド戦略「VERTU」

家弓 正彦
株式会社シナプス 代表取締役

日本での携帯端末販売を打ち切ったノキアが、改めて日本進出するそうですね。 今後は徹底したプレミアムブランド戦略による再上陸となりそうです。 ということで、プレミアムブランド戦略について考えてみました。

ノキアの戦略は、VERTU(ヴァーチュ)ブランドで超高級携帯を開発
 → http://www.vertu.com/jp/
【Product】 18金やチタンを使っているそうで、職人による手作り
       同時に、VERTUユーザー向けコンシェルジュサービスも
【Price】  121万円、335万円、370万円の3モデル
【Place】  販売は、直営店、宝石店、高級時計店
       直営店は、2009.2.19に銀座にオープン予定
【Promotion】直営店の店長は、元王族の秘書が富裕層向けに外商

いやぁ、徹底していますね。

そして、戦略競合はロレックスやカルティエだそうで、、、
「高級時計や高級スポーツカーがあるのに、 なぜ高級携帯電話がないのか?」
だそうで、、、

実は、すでに「プレミアム携帯」は、ソフトバンクとティファニーのコラボで
2008年10月に発売されていました。
価格は1298万円。限定10台ということで、こちらは話題づくりですね。
そういう意味では、本格的にプレミアム携帯市場を創出するのは、
ノキアのチャレンジが初めてということになります。

いよいよ携帯電話端末も、機能商品から情緒商品への転換が
始まったのでしょうか?
そんな情緒商品化が進んだ代表的は自動車ですよね。

ちなみにマーケティングの理論体系では、
顧客が受け取るベネフィットを3つに整理しています。

 ・機能ベネフィット:機能合理的なベネフィット
           (ex.走行性能に優れている)
 ・情緒ベネフィット:使用者が感じる心理的ベネフィット
           (ex.エキサイティングな気持ちになれる)
 ・自己表現ベネフィット:自分を演出したい、ヒトからこう見られたい
           (ex.カッコイイ走り屋の自分を演出したい)

近年、モノが溢れる時代において、人々の購買要因は、
機能ベネフィットから、情緒性、自己表現性にシフトしつつあると思います。
そういう意味では、ノキアの戦略は、時代の流れとも言えそうです。

しかしながら、以前のブランド戦略の話で、
「ブランドをつくるには、ストーリーが必要」という話をしました。
高級時計ブランドには様々な「語り継がれるストーリー」があるんですよね。

■ロレックス:埃や湿気を完全シャットアウトするオイスターケース
       メルセデス・グライツが遠泳でドーバー海峡を横断時に用いた
■ブレゲ:天才時計職人ブレゲ、マリ―アントワネットやナポレオンが寵愛
■フランクミューラー:「ブレゲの再来」「時間を操る男」「20世紀の天才時計師」
■オメガ:アポロ11号とともに月に降り立った時計
■タグホイヤー:アイルトンセナが生前愛用していた
■ロンジン:リンドバーグの大西洋単独横断飛行に用いられた
■ブライトリング:航空業界のパイロットの計器み用いられている

そんな歴史の積み重ねでブランドは築きあげられてきているんです。
携帯電話は、まだまだ歴史の浅い商品ですから、
ノキアはとても困難な課題にチャレンジしていると言わざるを得ませんね。

さて、皆さん、、、500万円の携帯電話を買ってみませんか?(^^;

【参考】
日経ビジネス2008.12.22-29号)

株式会社シナプス 代表取締役 家弓正彦

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家弓 正彦

株式会社シナプス 代表取締役

マーケティング戦略を中心としたコンサルティング、マーケティングに特化した教育プログラムの提供を行っています。

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