「きつキャラ”アダチン”」と「バッテリー交換電気自動車」

2009.01.31

営業・マーケティング

「きつキャラ”アダチン”」と「バッテリー交換電気自動車」

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

「固定概念を打破して発想の転換を」とは、言うは易く行うは難しの典型だ。ましてや思いつきではなく、論理的に成功する裏付けをもって逆張りを行うのは容易ではない。それをうまくやった例を発見した。

つい、「自動車へのエネルギー補給」と考えると、「スタンドで注入」することをガソリンと同じように電気でも考えてしまう。しかし、要は電力が得られればいいのだから、乾電池と同じ発想をすればいいのだ。言われてみればそれまでのことなのだが、固定観念に縛られてなかなか発想できない、目から鱗のしくみではないか。
<充電池はベタープレイスが貸し出すというシステムをとる>といい、<バッテリー交換ステーション自体には充電設備を必要としないことでインフラの整備も容易になる>ということだ。また、<バッテリーが汎用化されることで製造コストも低く抑えられる>ともいう。

サプライチェーンで考えると、このシステムがいかに優れているかよくわかる。
充電設備を備えたステーションを設置して、そこで電力を補充するというしくみを、ベタープレイス社が充電池の回収と補充をするという役割を担う。
<すべての自動車メイカーの電池の規格を統一できるかという問題>が残るとしているが、それが克服できれば同社は充電池車の電池交換をまとめることができるのだ。
サプライチェーンを細分化して、どこを自社で取り込めるか、または、自社が一手に束ねられるところはないかを考え抜いたに違いない。自動車産業のサプライチェーンを果敢に組み替えようとしているベタープレイス社はまだ創業1年半。固定概念を全く持たない新しい会社が、成熟しきった業界に投げかけた波紋は大きな広がりを見せるように思われる。

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