例外を探してみる

2009.01.28

組織・人材

例外を探してみる

泉本 行志
株式会社アウトブレイン 代表取締役

組織の一員である以上、必ずしも自分の得意分野、これまでの経験が直接活かせる領域でチャンスが与えられるとは限りません。

あなたは、これまで社内のWeb制作チームのリーダーをしてきました。Webサイトが重要な販売チャネルの1つとなっている会社で、重要な役割を確実にこなしてきたリーダーシップを買われ、あなたは今回新らたにカスタマーサービス(CS)部の部長に抜擢されました。 売上も順調に伸び続け、今後はCSの品質向上が経営上の課題ということで、大きな期待の上の大抜擢でした。しかし、あまりにこれまで携わってきた仕事の分野と違うため、仕事の勘どころも分からず、何から取り組んで良いのか分からない。

ジェネラリストにとって、全くの馴染みのない部門をいきなり任されることは宿命なのかもれませんが、
やはり慣れない分野で部下を持ってマネージメントしていくのは、不安に感じるものです。

そこでまず部署の問題点を分析したりする前に、1つのアプローチとして、「ポジティブデビアンス」を探してみましょう。 「ポジティブデビアンス」とは、「いい意味で、例外的な存在」という意味です。 同じ環境で同じようにやっているはずなのに、例外的に他者よりうまくやっている人が一人や二人はいるものです。 その例外的に成功している人を特定して、その人の他の人とは違う行動や習慣を観察して、そこから学ぼうというアプローチです。 良い例から学ぼうという意味では「ペストプラクティス」という言葉もありますが、これが外部(他部署、他社、他業界)から学ぼうというのに対して、「ポジティブデビアンス」は、内部で既に存在し得る、うまくいっているケースを探すことから始めます。

類似して、「ソリューションフォーカスアプローチ」とは、問題の原因追及に焦点を当てる代わりに、解決志向で問題を解決していくアプローチですが、これにも、「例外」に焦点を向ける考えがあります。 問題は、「常に」起こっているわけではない。どんな時にどのような条件下では問題が起こっていないか、その「例外」的な状態を知ることで、「問題が起こっていない、うまくいっている」状況を増やしていこうとする解決アプローチです。 つまり、「例外」から解決策のヒントを得ようというものです。

一般的な問題解決アプローチから考えれば、例外的な状況(部分的な現象)を見て解決策を考えるのには、違和感があるでしょう。 ただ、改善への小さなステップを肯定的なトーンで短期間に起こすならば、例外を見つけるこのアプローチが有効です。新しい部署を任されて力み過ぎ、トップダウンで的外れな解決策を押しつける危険性より、既に現場で成功してる例を見つけてボトムアップで展開していくことを促す方が、最初のステップとしてははるかに効果的です。 

そして、何よりもいい点は、これからマネージメントすることとなった現場で、うまくいっている人(ポジティブバリアンス)とそうでない人との差に着目することは、今後その部署を掌握したいリーダーにとって、とても有益な情報を得ることになるのです。

まずは、うまくいってることに着目し、それを増やすことで、部署のクオリティーをポジティブな雰囲気で
上げていきましょう。

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