ボールパークのセンターピン

2007.06.26

営業・マーケティング

ボールパークのセンターピン

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

「ボールパーク」とは野球場のことです。 今日は、メジャーリークの事例をご紹介するので、 あえて英語で表現してみました。 さてさて、 ボールパークのセンターピン(成功のカギ) は、なんだと思いますか?

実は以前にも書いたんですが、その答えは、

「混んでいること」

です。

参考>人の集まるところに人は集まる

大観衆で埋まった野球場の熱気、地面が揺らぐような大歓声は、
野球を観戦する楽しさを倍増させてくれます。

逆に、閑散とした客席に座って、
応援もまばらな中でみるゲームほどわびしいものはありませんよね。

福岡生まれの私は、小さいころ、年に1度は今は取り壊された
平和台球場に野球観戦に行ってました。

その頃の地元球団はライオンズです。

しかし、ライオンズの黄金時代ははるか昔のこと。
当時は、毎年最下位争いをするチームに成り下がってました。

さすがに、地元でも人気は低迷。
球場は閑散としていて、どうも盛り上がらない。
しかも、たいてい負けてしまう。

7回が終わった頃には、

今日も負けているし、混む前にそろそろ帰るか・・・

などと、見切りをつけて帰るのは本当にわびしいものでした。

そんな状況の中、ライオンズのエース、
東尾投手が孤軍奮闘していた姿を思い起こすと
泣けてきます・・・

おっと、感傷に浸っている場合じゃないですね。
本題に戻しましょう。

「混んでいること」

がセンターピンとなるのは、サッカーやディスコも同じです。

上記の過去記事で書いたように、
「ジュリアナ東京」がブレークしたのも、
「アルビレックス新潟」がJリーグ最大の観客動員数を
誇るようになったのも、当初、タダ券を大量にばらまいて、
とにかく人を集めて、「混んでいる感」を演出したからです。

つまり、こうした娯楽施設においては、
たくさんの人が来場していることが、大衆にとっては
人気度を判断する尺度であり、また、活気を生み出し、
興奮や感動を高めてくれる要素になるのです。

また、実際に人気が高まってくれば、
今度は、チケットなかなか手に入らなくなりますから、
価値が高まり顧客単価も上昇しますよね。
(いわゆる「プラチナチケット化」)

さて、野球場に例を絞りますが、
「混んでいる」状態に見せるための打ち手は、
次の2つ(の組み合わせ)になりますよね。

・人を大量に集める
・野球場のサイズ(座席数=収容人数)を小さくする

ただ、野球場のサイズを小さくするというのは、
従来のビジネスの発想からはバカげたことに感じます。

なぜなら、野球場からの売上は、

顧客単価x座席数(=来場者数)

で決定されるからです。

すなわち、座席数を減らすということは、
自ら売上機会を減少させていることになります。

しかし、「混んでいること」
というセンターピンに照らし合わせると、
むやみに野球場のサイズを大きくしてしまうと
逆効果になることがわかります。

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松尾 順

有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

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