トヨタiQはマス広告離れを加速するのか?

2008.11.21

営業・マーケティング

トヨタiQはマス広告離れを加速するのか?

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

発売前予約4,000台。それに貢献したのは従来型のマス広告ではない。ネットプロモーションが中心だという。

しかし、革新的な技術や製品の普及には、「イノベーター」に続く、「アーリーアダプター」の取り込みが欠かせないと、E.M.ロジャースが「イノベーション普及学」に記している。
iQの次なる課題もまさにそこにあるのだろう。
では、アーリーアダプター層にiQを訴求していくとしたら、今度はマス広告を用いるのだろうか。 筆者はそうは思わない。アーリーアダプターはイノベーターよりもその技術や製品の特性をじっくりと吟味、評価して採用に至るという特徴を持っている。故に、現在の路線で、ネットを中心とした訴求やクチコミ促進でじっくりとiQの魅力を浸透させていく手段の方が有効ではないかと考えるからだ。

アーリーアダプターを取り込んだら、次の「アーリーマジョリティー」は比較的容易に獲得できるとされている。つまり、アーリーマジョリティーは、革新的な技術や製品をきちんと吟味、評価するアーリーアダプターの行動を見て、安心して採用に踏み切るのである。
そのあたりになると、マス広告での盛り上げも始まるであろうが、その段階では市場での評価がはっきりしているため、あまり大量の投下は必要ないはずだ。つまり、結果としてマス広告の総投下量は極めて小ささな結果となると予測できるのである。

発売前に、車のシルエットを「チラ見せ」するティザー(じらし)広告を展開し、発売日から一気にマス広告の攻勢をかけ、さらに週末のディーラーでの試乗会告知も展開する。
そんな、旧来の広告手法をiQは過去のものにしてしまったのかもしれない。

トヨタは今年の8月29日に北米市場の低迷を受け、マス広告費の3割削減を発表している。
<トヨタ、マスメディア広告費3割カット=自動車業界、一段の経費圧縮>
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200808/2008082900666
サブプライムショック以前の決定なので、さらに削減幅は増えるかもしれない。.
そして、それをiQの成功がさらに加速させることは間違いないと思われるのだ。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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