スーパーホテル 顧客満足の秘密

2008.10.21

経営・マネジメント

スーパーホテル 顧客満足の秘密

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

一泊4980円のロープライスホテル、「スーパーホテル」が最近メディアでしばしば取り上げられている。「コスト抑制のしくみ」と顧客の「安眠へのフォーカス」が成功のポイントと伝えられている。しかし、同社の「高効率&顧客満足」の秘密は他にもまだまだあるのだ。

「集中と選択」というキーワードは、言うは易く行うは難い言葉の典型だ。集中すべき絞り込みがうまく選択できない。そんな例は枚挙にいとまがない。その点、同社にはブレがない。4980円というターゲットニーズとしてとらえ、そこに向けた大胆な簡素化をし、さらに満足度を高める、同社の提供価値の根本である「良質な眠りの提供」に対しては大胆な提供をする。
これが、目に見えるところでの、同社の「顧客満足の秘密」である。

■「人を動かすしくみ」編

すこし、他業種の事例を見てみよう。
<レレレの清掃 ラララな職場 JEX>
http://mytown.asahi.com/osaka/news.php?k_id=28000000810140004

日本航空の子会社JALエクスプレス(JEX)は<客室乗務員から社長までが機内掃除に加わるといった独自のコスト削減策で、原油高の中でも好調を保つ>という。

昨今では雇用形態がずいぶんと変わってしまったが、少し前までは、飛行機の客室乗務員といえば花形職業。それと、企業の社長が、機内清掃をするのだ。
掃除の象徴であるレレレのおじさんの名を冠した「レレレ当番」を持ち回りし、清掃担当者の人件費と入れ替え時間の無駄が省け、機材の回転率も高まったというのだからその効果は確かだ。
雇用の確保、人件費抑制防止というモチベーションの前には、掃除も致し方ない。人件費を効率的にするなら、少人数で何でもこなす「多能工化」は欠かせない。しかし、その場合、いかにモチベーションを維持するかが大きなカギになる。
JEXの場合、「当番」というしくみを作って、連帯感を持って行っているのがそれだ。

しかし、ローコストホテルの場合、極端に社員は少ない。簡素化するとはいえ、業務は多い。人が動くしくみはもっと必要なはずだ。

その一つが、人の採用方法にある。
<3年間で、2400万円~3600万円の収入。別途、報奨金最大1400万円(3年間)自己負担金0円。>
http://www.superhotel.co.jp/kaisya_r/job/manager.html

同社は住み込みのホテル支配人・副支配人を夫婦で採用する。
<収入は報奨金も合計すると3年間・お2人で最大5000万円。小売店や飲食店での独立をお考えの方にも、十分な準備資金を貯蓄することができます>とのことだ。

「3年間頑張れば独立開業できる」という強烈なモチベーションが人を動かすのだ。
得られるのは開業資金だけではなく、経営・接客のノウハウも学べるといい、3年間で「卒業」し、飲食業を開業した夫婦も紹介されている。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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