金融危機に思う~芯のある「これでいい」という行き方

2008.10.06

ライフ・ソーシャル

金融危機に思う~芯のある「これでいい」という行き方

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

【秋・小淵沢発】今日は徒然なるままに「金融危機」と「知足」と「無印良品」について書きます。

ところが、自分個人の仕事を始めてからは、あの日々のことを
「なーんだかなー・・・」と思い出す心境に変わりました。

今の私は、
利益追求?・・・んんー、利益は“ツイキュー”するもの?
そう思うと仕事がギスギスする。利益は一生懸命やった後のゴホウビと思えばいい。

生産性?効率性?・・・今の自分は働くことと生きることがかなり重なっているので、
「生産性の高い人生」・「効率的な人生」って何か気持ち悪い。

シナジー?レバレッジ?スピード?・・・今の自分の仕事は、
1本1本、手作り醸造のワインを売っているのと同じ。
シナジーを生かしたワイン製造、レバレッジの利いたワイン製造、
スピード製造のワインなどを目指そうとは思わない。

私は今、作家の司馬遼太郎さんが生前におっしゃっていた
「知足」(足るを知る)という言葉をしみじみ感じています。

私は世に言う成功者でもありませんし、
羽振りよく儲けているわけでもありませんが、
昨今は、自分の働き様・生き様に対し、「これでいい」という腹の据わりが出てきました。

過剰にテコを用いずとも、今の等身大の行き方の中から、
十分に成長や納得、自信を得ることができると感じているからです。

◆「無印良品」的行き方
「これでいい」という行き方に関し、少し唐突な材料を引き合いに出します。
それは「無印良品」です。

私は「無印良品」的な行き方に非常に共感を覚えます。
なぜかといえば、「無印良品」こそ、
「これでいい」を意志をもって体現しているブランドだからです。

その見方は、グラフィックデザイナー・原研哉さんの
著書『デザインのデザイン』(岩波書店)で得ました。

原さんの論旨をかいつまむと、
・突出した個性や美意識を主張するブランドでは
「これがいい」「これじゃなきゃいけない」というような強い嗜好性を誘発する。

・しかし、無印良品は逆の方向を目指している。
すなわち、「これいい」ではなく「これいい」という満足感のうちで
最高レベルのものをユーザーに与えること。

・「これがいい」という嗜好を鮮明に示す態度は「個性」という価値観とともに
いつしか必要以上に尊ばれるようになった。
しかし、「が」は時として執着を生み、不協和音を発生させる。
結局のところ人類は「が」で走ってきて行き詰まりをみせている。

・僕らは今日、「で」の中にはたらいている「抑制」や「譲歩」、あるいは
「一歩引いた理性」を評価すべきである。
「で」は「が」よりも一歩高度な自由の形態ではないだろうか。

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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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