電車の中で、じっと携帯電話を見つめている人が増えてきた。メールやケータイサイトを利用しているのではない。ワンセグを視聴しているのだ。では、みんな何をどのように見ているのかというと・・・。
8月5日に「携帯されない雑誌と、読まれるケータイ」という記事を書いた。
http://www.insightnow.jp/article/1834
マイボイスコムによる「雑誌」」に関する自主継続調査の結果を紹介したが、かつては移動時間というスキマ時間の友であった雑誌は、今ではすっかり携帯電話にその座を奪われたことが示されていた。ワンセグ受信機能がついている携帯電話も累計で3千万台を超えているという。ワンセグ搭載機の普及によって、さらに雑誌の受難は続くだろう。
ワンセグ搭載の新しい機種だけではない。携帯電話の販売方式が変わり、機種変更費用が高くつくことになって買い換え期間は伸びている。そこを狙って、廃携帯電話から液晶だけを取り出し、ワンセグモジュールをつけて安価に売り出されている端末も登場している。
今後、ワンセグはさらに隆盛を極めるのだろうか。
日経新聞を見ると、ワンセグ視聴のちょっと意外な実態が紹介されていた。
08年8月28日朝刊・連載「買い手のホンネ・地産研調査から」の<ワンセグは暇つぶしのため 情報得る意識、若者低く>という記事。マイボイスコムが実査を担当し、全国の20~60代男女1,000人にインターネットで調査した結果だ。
調査結果の要点は、ワンセグ利用目的が<「暇つぶしになる」からが63%で最も高かった。年代別では20代が73%と高い反面、60代は47%と半数以下だ>という。
もう一つ特徴的なのが、それ以外の理由の年代別差異だ。<「外出先でもいち早く情報を得たい」と答えた人は20%。50代で33%、60代は42%(中略)20代は9%>。その理由を<若い世代では、外で携帯電話を使う場合、iモードなどネット経由で情報を得ることが多いからかもしれない>と分析している。
考えてみれば、若年層の情報収集がワンセグではなくiモード経由のネットなのは極めて当たり前な結果だ。自在に情報をPullできるネットと、ひたすらPushされる情報を見続けなければいけないワンセグでは利便性が全く異なる。年代で差異がでるのは、ケータイでの情報収集能力の多寡、機器操作の習熟度の差によるものだと考えられる。年代が高い層でも、ケータイの操作に慣れれば、わざわざワンセグのニュースは見ないはずだ。
では、「暇つぶし」としてのワンセグのコンテンツはどうなのか。ワンセグのコンテンツは独自の時間枠と編成で放送されているものがあるが、基本的には地上波のサイマル放送として同一内容が流されている。昨今のテレビ番組が「暇つぶし」に向いているかどうかは個人の価値観によるところが大きいので一概には言えない。だが、バラエティー番組でよく見る芸人やタレントが登場してくる内容は、途中から見て途中でやめてもあまり問題はなく、言ってみればスキマ時間に視聴するのに向いているともいえる。家庭でテレビを見る時にはコマーシャルを飛ばしてチャンネルを次々と変えたり、複数の番組を掛け持ちで見たりという、ザッピングやフリッピングが当たり前になっている。スキマ時間の暇つぶし視聴は、その一コマを切り出したようなものなのだろう。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。