健全な懐疑精神を持て!

2007.06.01

ライフ・ソーシャル

健全な懐疑精神を持て!

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

今のように変化が激しい時代では、 自分の持ってる知識があっという間に通用しなくなりますよね。 「昨日は正しかったことが、今日はもう間違い」 ということが頻繁に起きています。

また、世の中はいろんなことが複雑に絡み合っていますから、

「何が原因で、何が結果なのか」

を判断することもまた、ますます難しくなってきています。

ですから、私たちは、自分の知識や、外部から取り入れる「情報」
に対して、もっと慎重になる必要があるんじゃないでしょうか?

具体的には、

---------------------------------

「自分の知識は、既に古くなっていないだろうか?」

「自分の知識は、間違った思い込みではないだろうか?」

「この情報は、どの程度信用できる(正しい)のだろうか?」

「この情報は、短絡的なロジックに基づいていないだろうか?」

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といった質問を常に行い、

「使える(生きている)知識・情報とそうでないもの」

を適切に選り分けるべきでしょう。

これは、ものごとをネガティブに見るためのものではなく、
「使える情報」を拾い上げるための意識的な姿勢ですから、
「健全な懐疑精神」と私は呼んでいます。

そして、こうした姿勢は、
単なる「情報(インフォメーション)」を価値の高い情報、
すなわち、「インテリジェンス」に磨き上げるために
必須だと思います。

今、「意識的」と書きましたが、かなり意識しないと
私たちは、すぐに思い込みの短絡的な思考に
陥ってしまいがちです。

先日、池上彰氏が書かれた

『伝える力』(PHP研究所)

を読んでいて、あらためて驚いたことがあります。

それは、実に多くの人が、
勝手な思い込みや陳腐化した知識でものごとを判断し、
また「批判」しているということです。

池上氏が以前担当していた「NHK週間こどもニュース」
でのエピソードを紹介しましょう。

日銀が金利を引き上げたときのこと、

「日銀は金融機関同士が貸し借りしている
 資金の金利水準を一定にしていて、この金利を引き上げた」

という説明を池上氏がしたら、

「なぜ公定歩合と説明しないのだ」

という抗議電話が何本もかかってきました。

しかし、日銀は公定歩合で金利を決めることを
とっくにやめているのです。
(恥ずかしながら、私も知りませんでした)

私は、この抗議をした人たちに言いたい。
電話をかける前に、まず公定歩合の現状を
なぜ自分で調べないのですか?

あるいは、

「年金は、若い人が払った保険料がお年寄りに渡されます」

という説明をしたら、お年寄りたちから、

「若い者の世話にはなっとらん。我々が昔払った保険料を
 積み立てて、それを受け取っているだけだ」

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有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

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