日野原先生の命の授業は子供のだけのもの?

2008.07.29

ライフ・ソーシャル

日野原先生の命の授業は子供のだけのもの?

横井 真人
産業能率大学 教授

聖路加病院理事長の日野原先生は今年97歳。先生が見つけた命の意味、学びの原点とは?

日野原先生の命の授業とは、平易な言葉で命とは何かを
5年生を対象に解説する内容です。
たまたまうちの息子の学校で開催される機会があり、
直接参観できる幸運に恵まれました。

命の授業は座禅の組み方を生徒が実演するところから始まりました。
すごい掴みです。
そしてすかさず、学びとは応用できるかどうかだと言い切ります。
座禅で行う「瞑想」の「想」にある「心」という漢字をベースに
例えば「思う」の田は脳の形を表し、頭と心で考えること、
そして「悲」は非がつくけど、非は英語でどういうの?
そうNOTだね。
NOTがつくことで、元気な心がない状態だと
理解することが漢字文化の表現力の土台だよ
と整理されました。
さりげなく国語に英語を忍ばせるところがにくいです。

算数では100年生きるとして黒板に線を書いた時に
10歳はどの辺に来るかを推測するには、
100の半分の50、50の半分の25、25の半分の12.5、
と割り算を応用することで線上でのおおまかな位置が分かる
例などを通し、算数の背景にあるロジカルシンキングの
アプローチを示されました。
どうして算数を勉強するの?と聞かれたときに
いいかも知れません。

これらの内容をインタラクティブにファシリテート
されるところは流石でした。
ただ、子供は面白がる子ととまどう子とに
分かれてしまうのが
企業研修と同じだなと思い起こし、苦笑してしましたが。

含蓄深かったのが、
見えないものにこそ大事なものが潜んでいる、
という先生の持論です。
心も見えない、命も見えない、時間も見えない。
そして先生は「命とは」という根源的な問題に一つの解を提示されます。
命とは自分に与えられた時間であり、
その時間を何のために使うかが人の一生の宿題なのだと。

子供であれば自分のために時間を使うのは当たり前ですが、
成長するに従って、他者のためにどれだけ時間を使うかが問われるとのこと。

授業の最後では童謡「シャボン玉」を歌い、逸話が紹介されました。
作詞者の野口雨情は
生まれたばかりの女の子を亡くしており、
シャボン玉の一つ一つを命に見立て、壊れやすいものだからこそ、
割れないように、無事育つようにとの願いが歌詞にはこもっていたのでした。
ちょっといい話ですね。知りませんでした。

先生は10歳と20歳の時に大病を患ったので患者の気持ちが分かる。
でも普通の人はそんな体験はできないので、
相手の心情を想像できる感性を養うことが大事になるとのことです。
弊社で言えばEQ・感情能力にあたります。

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横井 真人

横井 真人

産業能率大学 教授

個人と組織のパフォーマンス向上を研究。人の行動をスキル、知識、行動意識、感情能力、価値観等の要素に分解し、どの要素が行動に影響を与えているかの観点からパフォーマンスを分析。職場のコミュ二ケーション、リーダーシップ、チームビルディング、ファシリテーション、ソリューション営業、マーケティング等の具体的施策に視点を活用する。

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