掃除機バトル・ダイソンの牙城に合わせ技で挑む三洋電機

2008.07.10

営業・マーケティング

掃除機バトル・ダイソンの牙城に合わせ技で挑む三洋電機

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

携帯電話やパソコンのデジタルものや車などに比べると、家電はあまり注目が集まらないプロダクトかもしれない。しかし、よく見てみるとなかなか面白い戦いが展開されている。

さて、迎え撃つダイソンは、上記の同社Webサイトの動画で展開しているように、各社の集塵率を比較し、自社とは比べものにならないという、直球勝負で、まさに王者の戦略である。王者に対し、差別化を挑むチャレンジャー。まさに戦い方の王道といえる展開だ。

ただ、一つだけ気になるのが価格面。他の日本メーカーのサイクロン掃除機の実売価格はおよそ3万円台半ば。ダイソンの価格は実売でエントリーモデルが4万円弱。ハイエンドモデルが6万円台半ば。エアシスは実売最安値で5万円強で、中心価格帯は7万円台半ば。王者ダイソンの上をいく価格である。

価格の設定には、自社のコストから、いくら利益を積み上げていくかという、「原価志向」、顧客が「いくらなら買ってもいい」考えてくれるかから推測する「カスタマーバリュー志向」、競合価格を考慮して設定する「競合志向」の3つの観点が必要とされている。つまり、おなじみの3C(Company・Customer・Competitor)の観点だ。
「エアシス」は「空気から掃除」をコンセプトにした多様な付加価値で、カスタマーバリューを高め、競合となるダイソンにも十分戦いが挑めるとふんでの価格設定となったのだろう。その価格が市場に受け入れられるか、非常に興味のあるところだ。

「掃除機」という、ちょっと地味なプロダクトであるが、よく見ると熱い戦いが繰り広げられているのである。ミクロ視点での競合戦もウォッチしてみることをオススメしたい。

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金森 努

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コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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