「隙間時間」は「埋める」から「作る」へ

2008.07.10

ライフ・ソーシャル

「隙間時間」は「埋める」から「作る」へ

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

仕事の効率と生産性を向上させるコツである「ライフハック」。その中でもちょっとした空き時間、いわゆる「隙間時間」の有効活用術は定番だ。しかし、最近意外とそんな「隙間」はなくなっていないだろうか?

さて、こんな環境の中で、隙間時間は特にネットからの情報収集はいつでも・どこでもできるようになっており、PCか携帯の液晶画面をいつでもにらんでいる自分に気付かされる。
確かに日々のネタ収集にはこの上なくありがたい環境だが、これで良いのか?とも思う。
視覚を液晶画面に固定し、思考力をその情報処理だけに割り当てる隙間時間の使い方。どこか不自然な気がする。しかし、情報収集というインプットはある種の中毒症状を引き起こしがちだ。暑い時、水を飲み始めると止まらなくなるのに似ている。

アルキメデスが「浴槽からあふれ出るお湯」を観察し、「浮力の法則」を発見したのは有名な話だ。入浴というある意味の、ふとした「思考の隙間」に視覚から「あふれ出るお湯」という新鮮な情報が入り、解放していた思考が起動し理論に結実したということだろう。
習慣的な情報収集行動で隙間時間を埋めていたら、そんな新鮮な発見と、自由な思考ができるだろうかと考える。恐らくは難しいだろう。
これからは、意図して「隙間時間」を作らないといけないのかもしれない。

ピーターパンの作者である、サー・ジェームス・マシュー・バリー(1860~1937)の言葉。『珠玉の時間を無為に過ごさないようにと注意を受けたことがあるだろうか。そうなのだが、無為に過ごすからこそ珠玉の時間となる時もある』。
世界の誰からも愛されるピーターパンも、バリーの「無為の時間」、つまり「隙間時間」から生まれたのではないだろうか。
「時間の隙間を埋める」のではなく、「珠玉の無為の時間」の過ごし方をこれからは考えてみたいと思う。

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有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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