「陽だまりをつくる家」真夏の検証2

2008.06.26

ライフ・ソーシャル

「陽だまりをつくる家」真夏の検証2

敷浪 一哉

自身の作品「陽だまりをつくる家」を通じて、真夏の暑さを乗り切る快適さと、省エネ性能を実体験から検証しています。

この家は3階建てということで、夏の暑さは結構懸念していました。しかし、意外と大丈夫なもんだなぁというのが感想です。
断熱に関しては大体このくらいでこの程度の効果だということは見えてきました。金融公庫のレベルで言うと次世代省エネ基準の一歩手前くらいまでやれば、横浜では十分でしょう。そのかわり、風を通す仕組みはもっともっと改善していかなければならないでしょう。これは本当に難しいです。場所によっては同じやり方が通用しないこともあるでしょうし。
現在さまざまなハウスメーカーさんが取り組んでいる超高断熱化を否定するわけではありませんが、あれはあくまでもエアコンに頼るやり方です。断熱がすごいのでエアコンをつけなくても涼しいのではと思うでしょうが、実際こういう高性能の家は窓面積が小さいです。それは、断熱のロスは窓が大部分を占めるからです。それは性能のいい窓でも同じことで、壁の断熱と比べれば、窓でのロスは大きいのです。
そう考えると、性能に固執すると空気のこもる家になります。もちろん計画換気をしているでしょうから、酸欠になることはありません。
しかし、この場合の空気の入れ替えは、あくまでも酸欠にならない程度の最低限の換気なのです。だから人体に感じない程度の風ということになります。すると何が起こるかといいますと、

照明の熱が暑いんです。

昼間は明るいから照明つけないよね、と思ってませんか?
少し前の文章を思い出してください。断熱性能をよくするには、窓面積を少なくしなければならないのですよ。そうすると、昼間でも薄暗い場所が多く発生しますよね。つまり、昼間でも照明をつけなければならない状況を自ら作り出しているわけなんです。照明の熱で暑くなってくるということは、蛍光灯を使用するしかありません。僕は蛍光灯がつくる影のない光は、空間を殺してしまうと考えています。だから、空間を演出するための光は、なるべく蛍光灯以外の照明を使いたいと思っています。

ということで、断熱でまあまあ良い状態にしておいて、風通しをよくする。これで、エアコン無しでも夏が乗り切れることがわかりました。

建築と建築家と設計事務所と住宅と横浜と家族と・・・
シキナミカズヤ建築研究所

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