支持率が20%を割り込み、「危険水域に入った」と言われている福田政権ですが、11日、参院で福田康夫首相への問責決議案が可決されました。議院での数の論理とはいえ、福田首相が一国の総理としてふさわしくないと感じている国民は多いのではないでしょうか。
日本では、ファシリテーションスキルとは会議の運営スキルと思われている方が多いようですが、そもそもファシリテーションとはメンバーや関係者の智恵とやる気を引き出し、深い納得に裏付けられた合意を実現する強力なスキルであり、同時に能力を開発する上で肝となるコミュニケーションスキルなのです。
要するにリーダーシップの“あり方”そのものであり、“やり方”でもある重要なスキルがファシリテーションスキルなのです。
技術で最先端を行く日本の企業はどうもこの分野において世界の潮流から外れているようです。あまり関心がない感さえあります。
そもそも元来日本の企業はリーダーを養成する思想がないといわれていました。確かに現在の日本企業の現場を見るとマネージャーを養成する思想が確立できていても強いリーダーシップを発揮するリーダーを養成する思想が希薄であるような気がします。
マネージャーには、地位と権限を与えられた上で、一定の部門内をマネジメントするスキルが求められるのですが、強いリーダーには、部門を越えて、本来権限の及ばない人たちにも影響を与え、動かすスキルが求められます。
日本でも、強いリーダーシップを発揮しているリーダーの方が多く存在しますが、属人的であることが多く、日本の企業内にはマネージャーを養成する仕組みがあっても、強いリーダーを養成する仕組みがないのです。
先述のランキング1位のGEはリーダーを養成する仕組みの核となる手法としてアクションラーニングを取り入れています。過去20年あまり、GEは学習する組織であり続けるためにアクションラーニングを活用しています。
日本ではまだまだ知られていませんが、アクションラーニングは、現実の問題解決に貢献するとともに、社員が新たなスキルを習得し、組織内に浸透させることを可能にする画期的な手法なのです。
ここで注目すべきは、アクションラーニングという手法ではなく、アクションラーニングを実践していくと、ファシリテーションスキルが自然と身につくことです。ファシリテーションスキルが身につくと、地位や権限に頼らずに、人の潜在力を引き出し、人を動かすことができる強いリーダーシップが醸成されます。
これからのリーダーの仕事は陣頭指揮をとることでも、自分が率先して問題解決することでもありません。
メンバーの自律的な問題解決を「促進」「支援」するのです。そうすることで、チームの智恵とやる気を最大限に引き出していくことができるのです。そのために求められるのがファシリテーションスキルなのです。
上下関係に基づく権力や権限の行使ではなく、「真のリーダーシップで人や組織を動かすことができる人材」を養成する仕組みを創ることが、今の日本の急務の課題ではないでしょうか。
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2010.03.20
2015.12.13
松本 真治
有限会社ワースプランニング 代表取締役
人材・組織開発コンサルタント。 人材・組織の潜在力を引き出すアセスメント(サーベイ)の企画/開発/運用から本質的課題を抽出し、課題解決のための最適なソリューション(研修・教育プログラム)の設計/運営までのコンサルティング・サービスを展開中。 人/組織が本来持ち備えている力(潜在力)を引き出し、人/組織が自律的で持続的な成長を遂げていく支援をさせていただいています。