心理的報酬・・・ハーレー検定

2008.05.27

営業・マーケティング

心理的報酬・・・ハーレー検定

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

ちょっと前に書いた『継続ドライバ』(参照先は末尾)の記事で、 既存顧客の維持施策には、以下の2つの方向があることを お伝えしました。 1.経済的報酬 2.心理的報酬

この2つのうち、「心理的報酬」の具体施策として、

「何とかマスター」

などといった称号を与える方法があります。
これは、顧客の名誉欲や特権意識をくすぐることが
狙いですね。

例えば、近年話題を集めたのが、

「ラーメン花月」

の「花月マスター」でした。

これは、一定期間内にラーメンを食べると
1杯毎に1ポイントがもらえて、15ポイントを貯めると、

「花月マスター」

に認定されるというもの。

花月マスターには、
創業者の直筆サイン入り認定証が贈呈されるほか、
同社ホームページなどに「花月マスター」として
名前が公表されます。

また、「新作ラーメン試食モニター権」が与えられ、
いち早く新作を味わうチャンスがあるということで、
初年度は8,930人のマスターが誕生しています。

今年は3年目ということで、

「花月マスターV3」

が開始されています。

ただ、そのキャンペーン内容を見ると、
認定証の贈呈や花月マスターの氏名公開はなく、
特別割引や特別サービスを含む、単なる

「ポイントシステム」

になっちゃってますね。

「ポイントシステム」は「心理的報酬」ではなく、

「経済的報酬」

ですから、当初とは趣が変わってしまっています。

さて、熱狂的な愛好家がいることで知られる
「ハーレーダビットソン」では、今年8月から

「ハーレー検定」

を開始するそうです。(日本産業新聞、2008/05/27)

検定に出されそうな例題を1つ引用しておきます。

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●4人の創業者のうち、ファミリーネームが‘ハーレー’
なのは何人か?」

 
(1)1人 (2)2人 (33人 (4)4人

*正解は(1)の1人

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とてもマニアックですね・・・

当検定は、顧客にハーレーの製品や歴史に対する
関心を高めてもらうのが直接の目的です。

ただ、心理学で言う

「熟知性の法則」

(ある物事を良く知れば知るほど、
 それに対する好意が高くなるという傾向)

に基づけば、当検定を受検することによって
ハーレーに対する愛情がますます深まるでしょうし、
同時に、合格者は「名誉」を得ることができる。

ハーレーのことをますます熱く語り、
同社製オートバイの購入を周囲にも熱心に勧める
オピニオンリーダーが輩出されることになりそうですね。

『継続ドライバとは?』
http://www.mindreading.jp/blog/archives/200805/2008-05-08T0802.html

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松尾 順

有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

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