コカ・コーラの「CBL」:消費者調査の新手法

2007.03.27

営業・マーケティング

コカ・コーラの「CBL」:消費者調査の新手法

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

米コカコーラが2004年に開発した独自の消費者調査の新手法は なかなか興味深いので、ポイントをご紹介します。 この新手法は、既に世界40カ国で実施されています。 日本のコカコーラグループでの採用は06年8月でした。 (日経MJ、2007/03/23、日経情報ストラテジー、MAY 2007) さて、 「CBL」(Consumer Beverage Landscape) と呼ばれるこの手法は、

市場を「商品カテゴリー」ではなく、

「消費者の動機や欲求の種類」

でセグメントするものです。

「商品カテゴリー」は、例えば「炭酸飲料」、
「スポーツ飲料」、「果汁飲料」などのカテゴリーがありますが、

・これらの商品はどんな成分で構成されているか
・どんな特徴があるか、

といったことが基準になっています。

いわゆる「規格」に基づく分類です。
通常、市場規模はこの商品カテゴリー毎に集計しますよね。

しかし、「CBL」では、消費者調査に基づいて

・食事との相性
・気分一新
・栄養補給
・自分らしさ

など、19個の消費者側の動機、欲求を抽出しています。

これらは、

「ニードステーツ」(「欲求の状態」とでも訳せますか)

と呼ばれていますが、「CBL」では、19個の
ニードステーツ毎の市場規模が算出できるようになっている
そうです。

つまり、「商品カテゴリー」による市場規模は、

「何を飲んだか」

という統計データ、

一方、「ニードステーツ」による市場規模は、

「なぜ飲んだのか」

の統計データになると言えます。

では、この「CBL」を活用することで、
どんなことがわかるんでしょうか?

例えば、スポーツ飲料の「アクエリアス」
の派生ブランドである機能性飲料「アクティブダイエット」
は、基幹商品の「アクエリアス」の販売数量を落とすことなく、
ヒットしました。

つまり、両ブランドは、規格面では似た存在なのに
食い合い(カニバリ)が発生しなかったのですが、
従来の調査では、なぜ食い合いが起きなかったのかの理由が
わかりませんでした。

しかし、「CBL」によれば、

・アクエリアス→「積極的な補充」

・アクティブダイエット→「体重管理」

とそれぞれ、異なるニードステートが大きいことが判明。

要するに、両ブランドの場合、消費者の飲む動機、欲求が
異なっていたので食い合わなかったということですね。

その他にも、「ニードステーツ」に基づく、競合他社商品
とのポジショニング分析を行い、弱いカテゴリーを
補強するためのマーケティング施策立案等に役立てることが
可能です。

「CBL」のような、市場規模を消費者の動機や欲求で区分する
方法は、ありそうであまりなかったアプローチですよね。

現時点ではまだ、「CBL」について詳細な資料を手に入れること
は難しいようですが、追加情報が手に入ったらまたご紹介します。

*なお、「CBL」のための調査方法について以下、
簡単に付記します。

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松尾 順

有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

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