「空気読んじゃう」新入社員・その傾向と対策

2008.04.28

組織・人材

「空気読んじゃう」新入社員・その傾向と対策

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

企業に新入社員がやってきて、そろそろ1ヶ月が経過する。早々に現場に配属され、先輩に連れられてOJTを受けている人もいれば、連休前にようやく配属が決定するという人もいるだろう。さて、ビジネスの現場に登場した今年の新入社員はどんな表情を持っているのだろう。

筆者は講師の仕事の比率が結構多い。大学でも教えているが、この季節にはいくつかの企業で新入社員研修なども担当する。自分が40歳をいくつか越えてくると、若者と講義や研修を通じてやり取りするのは、ずいぶんと刺激になってありがたい。一方で、自身がそれなりに若かったときにはわからなかった、受講者の立場から距離を置いた客観的なものの見方できるようになってきた。

大学生はそうなのだが、就職活動を経てきているとはいえ、まだその延長線上である新入社員もビジネスの世界に染まっていないだけに、面白いことに、毎年ずいぶんと傾向が出る。多くは景気の動向に左右されるのだが、非常にはっきりしている。
筆者は大学で「ベンチャービジネスとマーケティング」という講義を持っているが、景気がよくなり、学生に安定志向が強くなるごとに、年々受講希望者が減っている。今後の景気次第ではまたわからないが、4年目の今年の受講者は最盛期の四分の一だ。そして、新入社員もそんな安定志向をかなり反映しているように見える。そして、ずいぶんとのんびりしているように思えるのだ。

もう一つ、特に今年は顕著な傾向があるように思える。
もはや流行語というよりは、世間にすっかり定着してしまったKY(空気読めない)。しかし、その反動からか、昨今の若者の多くは実に巧みに周りの空気を読むことができる。特に、今年の新入社員はその傾向が強いようだ。
筆者が担当する研修の多くは、一方的な講義ではなく、受講者にビジネスケースや自社課題を与えて、グループで取り組ませ、発表させるという”グループワーク”を取り入れている。年次の進んだ社員対象の研修や、ビジネススクールではその手法は必須なのだが、さすがにオトナな受講者は自分が主張すべきとことは強く押し、譲るべきところはうまく折り合いをつける。
しかし、学生や新入社員は本来的にはそんなにうまくできない。多くのグループで、発表のゴールに至るまでに、何度も対立やいさかいが起き、グループが分裂したり、孤立したりする人間が出るのが常だ。しかし、そこから学ぶものは多く、そうして組織人、社会人となっていくのである。

が、今年はなぜか、どこの企業の新入社員研修でもそうしたグループ内での衝突がほとんど起こらない。微妙にグループ内で意見の対立が起こっているフシもある。自説を主張している人間もいる。しかし、すぐに自ら却下してしまうのだ。
たぶん、「空気読んじゃっている」のだろう。
あまり強引に主張して、周りから浮きたくないという意識が働いているのではないだろうか。そこそこに主張し、後はグループの合意に従い進めていく。そんな傾向が見て取れた。
だからといって、結果がプアな状態になるわけではなく、うまく調整をとって、結果を出せるのも今年の傾向かもしれない。例年の、対立や孤立が発生するグループよりも、全体としては仕上がりのいい発表に至るケースが多い。「空気読んじゃう」のもあながち悪いわけではない。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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