ペルソナを持った「適格見込み客リスト」ができたら、次はお客様のニーズやウォンツを探る段階です。ここで大事なのは、仮説を立てて反応を見ること。私はこれを「仮説ニーズ」「仮説ウォンツ」と呼んでいます。仮説を投げることで、お客様のレベルも、自分の立ち位置もはっきり見えてきます。
ペルソナを持った「適格見込み客リスト」ができたら、次はお客様のニーズやウォンツを探る段階です。ここで大事なのは、仮説を立てて反応を見ること。私はこれを「仮説ニーズ」「仮説ウォンツ」と呼んでいます。仮説を投げることで、お客様のレベルも、自分の立ち位置もはっきり見えてきます。
営業のパーを設定する
ニーズやウォンツを探る感覚は、ゴルフに似ています。ゴルフは「パー」という基準があるから上手下手が分かるわけで、このパーという基準がなかったら面白くありません。一見、人と競っているようで、実はパーという基準と戦っているのです。だからこそハンディキャップがあって、誰でも楽しめるようになっています。
営業も同じで、ニーズ、ウォンツを探るときは、自分なりのパー、つまり数値化した基準値を持つことが大切です。私自身、お客様から紹介してもらって営業に行くときには、自分の中にパーを設定しています。この感覚は、ニーズやウォンツを探るときにも役立ちます。
私がよくするたとえ話があります。
飲食店で一山当てたいと思う人がいて、神様に「願いをひとつだけ叶えましょう」と言われましたとします。この人は何を願うでしょうか。いろいろな側面がありますが本質的には、銀座4丁目の店舗でも、3つ星レストランのシェフを連れてきてほしいでもなく、「腹が空いてしかたない人を500人、店の前に連れてきてくれ」です。
適格見込み客の仮説を立てて、その人が一番腹の減るシナリオを考える。これが私の言う仮説ニーズ、仮説ウォンツです。食べたくて仕方がない、ぐっとくるようなシナリオを考える。レストランであれば、8,000円のコースでも1万5,000円のコースでも、「それが食べたい」と思わせるようなメニューをつくる。それができれば、価格ではなく価値で勝負ができます。
「欲しい」を想起させる
商品価値には、情緒的価値と機能的価値があります。例えば、100円ライターと5000円のZIPPOでは、火をつけるという機能的価値は一緒でも、情緒的価値が違うため50倍の差が生まれます。10万円以上するダンヒルやデュポンも同様です。どれも機能的価値は変わらないのに、情緒的ベネフィットの違いが価格を大きく分けています。
では、どうやってその価値をつくるのか。ここで私がいつも言うのが、「ニーズを探るな」ということです。ニーズを満たすことをゴールにしてしまうと、営業はただの代行業になってしまいます。証券会社で株を売ってきた私にとって、そもそもニーズを探したところで意味はなく、ウォンツしかありませんでした。商品が良くなければお客様に欲しいと思わせることはできないと思われがちですが、私はそうは思っていません。株はそもそも商品そのもので差別化できるものではありません。だからこそ、ニーズではなくウォンツ、つまり「欲しい」を想起させることこそが新規開発のすべてです。私はこれを「欲しいの想起」と呼んでいます。
関連記事
2009.02.10
2015.01.26
ハートアンドブレイン株式会社 代表取締役社長
1968年、千葉県生まれ。東海大学法学部卒業。 英国国立ウェールズ大学経営大学院(日本校)MBA。 新日本証券(現みずほ証券)入社後、日本未公開企業研究所主席研究員、米国プライベート・エクイティ・ファンドのジェネラルパートナーであるウエストスフィア・パシフィック社東京事務所ジェネラルマネジャーを経て、現職。
フォローして村上 和德の新着記事を受け取る