遅々として進まないDX。果たしてこれからどこへ向かうのだろうか

2023.01.25

経営・マネジメント

遅々として進まないDX。果たしてこれからどこへ向かうのだろうか

INSIGHT NOW! 編集部
インサイトナウ株式会社

DXなくして企業ではないと言わんばかりの盛り上がりようだ。国(経産省)は、2022年7月に、今度は「DXレポート2.2」なるものを公表した。 そこでは、デジタル産業の変革に向けた具体的なアクションと方向性として、【デジタル産業宣言】というものが発表されている。しかも、これは「会社ごとにカスタマイズして自らの宣言にする」ことが意図されているようで、当然これは、IT産業向けではなく、IT化、デジタル化が遅れている(と言われる)産業界に向けてのものだと理解しているが、「デジタルの力をその改善のためだけに利用していることに危惧の念を抱いている」と企業に対してかなり上から目線でつくられている印象だ。

ところが、驚いてしまうのは、「DXを成果に結びつけるためのビジョン・経営戦略・ロードマップが明確に描けていない」と答える企業が67.8%もあり、「DXに向けた方針が役員や経営幹部に共有されていない」が44.2%、「具体的な事業への展開が進まない」が65.5%となっていることだ。つまり「7割の企業が取り組みの成果が出ている」と答えているのだが、ビジョン・戦略はないままに成果は出ているということか。ここで言われる成果とはどういうことなのだろうか。また、多くの企業でビジョン・戦略はないが「DXに向けて取り組んでいる」ということか。

やはり、企業幹部のDXに対してどう考え、何を求めているのかが、よくわからない。

DXはどこへ進むのか

もうひとつ、クラウドエース株式会社による【大手企業(従業員数 1000 名以上)の DX 担当者に聞いた、現場で感じる本音】を見てみると、「2022 年を振り返って、あなたのお勤め先の会社では、どの段階まで DX が進んでいますか。」という質問に対して、「DX推進のため、社内でビジョンを共有、経営陣が方向性を示した段階」が 24.8%だという。逆の答えではあるが、約7割が「ビジョン・戦略を描けない」状態を裏付けている。

また、「紙をベースにしたアナログな業務プロセスをITを活用してデジタル化する『デジタライゼーション』の段階」が 28.4% 、「作業時間や業務プロセス全体に要する時間を削減し、業務効率化や生産性向上を実現する『デジタライゼーション』の段階が23.9%となっており、残念ながら、本来のDXの目的であると思われる「事業やビジネスモデルを変革する『デジタルトランスフォーメーション』の段階は10.1%に過ぎない結果となっている。

業務効率化がDXの一部であるかは、「デジタルの力をその改善のためだけに利用していることに危惧の念を抱いている」という言葉からすれば、それは違うのだろう。とするならば、約1割の企業しか、DXの目的に向けて進んでいないということか。

しかし、同調査の実際にDX推進のために具体的に行ったことの答えは、「ペーパーレスの推奨」が45.9%でもっとも多く、以下、「DX 人材の確保」が38.5%、「システム開発」が36.7%、「DX に関する社内ビジョンの設計・共有」33.9%、「IT 投資の予算増加」が32.1%、「バックオフィス SaaS の導入」が25.7%となっている。

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