仕事の「自分ごと化」と「意識の視界」

2020.11.20

組織・人材

仕事の「自分ごと化」と「意識の視界」

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

事業組織にとって「優れた人材」とはどんな人材でしょうか。その分野の知識やスキルを保持した人でしょうか。知識やスキルを十分に保持していても、仕事を「自分ごと」にできず、「意識の視野」が狭く・暗くなっている場合が起こりえます。ジョブ型雇用の拡大や、リモートワークによる業務の分断が進めば進むほど、個々が自分の仕事をとらえる「意識の視界」具合は見逃せない観点になってきます。

その仕事はどれだけ「自分ごと」ですか?

仕事との関わり方において、「仕事のオーナーシップ」という観点があります。オーナーシップ(ownership)とは「所有権」の意味です。「仕事のオーナーシップ」とは、平たく言えば、その仕事をどれだけ自分のものとし、責任感や当事者意識を持ってやっているか、そしてその結果として仕事全体に自分の味わいがどれだけ醸し出されるかということです。

いま組織内での仕事は細かに分業化されています。そんな中で、個人は割り振られた仕事をするわけですが、「自分は言われたことはやっているんだから」と、あとのことは他人任せ・上長任せのような意識がある程度出てきます。そしてその意識が過度になった人は、粗雑な仕事で後工程の人に迷惑をかけたり、組織全体のリスクを高めたりするようになります。

あるいは、「全体の成績が上がらないのは上司・組織の問題だから自分には関係ない」「ここの経費がかかりすぎたようだけど、会社のお金だし、まあいいか」として、どこか第三者的な傍観態度で、やり過ごしたりします。こうした意識の人は、仕事を「他人ごと」としてやっているのであり、そこには仕事を「自分ごと」として大事にするオーナーシップがありません。

家を考えてみてもそうでしょう。賃貸物件に住んでいる人は、家の扱いがどこか雑で乱暴になります。それは家が他人の持ち物だからです。ところが自分の家を買った人は、それを大事に使おうとします。そして、住まう家主の性格がより濃く家のたたずまいとして表れるようになります。

その仕事が自分ごとであれば「意識の目」は自然と大きく開く

目の前の仕事を「自分ごと化」させているかどうかはいろいろなところに表れます。例えば、品質意識。上司や顧客に見えない部分であっても、ていねいに仕上げようとするこだわりがあるかどうか。あるいは、協働意識。自分の担当範囲外であっても、目配り・気配りがあるかどうか。さらには、誇り。その道のプロとして自負心を持っているかどうか、など。もし、こうした自問に強くYESと答えられるなら、あなたは仕事を自分ごとにしているといえるでしょう。

では、仕事の「自分ごと化」と「意識の目」の関連について、少し詳しく触れましょう。

組織の中で自分に任された業務というものをどうながめながら進めるか、それには個々でかなりの違いがあります。ここで言う「ながめる」とは、肉眼で見ること以上に、「意識の目」で見ることを含みます。

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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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