ここへきて、インサイドセールスが注目を浴びている?

2020.02.29

営業・マーケティング

ここへきて、インサイドセールスが注目を浴びている?

猪口 真
株式会社パトス 代表取締役

営業の職種自体がかなりの勢いで減少しているという。 2000年あたりの約470万人をピークに、2015年には約130万人もの営業マンが減少しているという。営業マンが減少している中、異常に増加している職種がある。営業に代わって生まれたのが、「営業・販売事務職」と呼ばれる職種だ。

「展示会来場者に電話しアポイントをとる」「セミナーイベントなどの出席者にアポイントをとる」「メルマガからのアクセス者にFAXやDMを送りアポイントをとる」など、伝統的なセールスプロセスの一環としてよくあるかたちではあった。

ところが、現在の「インサイドセールス」は、外回り営業の補佐ではなく、むしろ「主力部隊」として活用している企業が増えている。むしろ、外回り営業は、契約書の捺印や顧客の確認や与信問題など、外せない事務手続きのみに回るケースが増えてきている。

なので、電話の内容が明らかにこれまでとは異なる。単なるアポイントではなく、すでにコンサル的な内容であることに加えて、Webやクラウドも同時に活用する。顧客がPCの前にいれば、共有画面によるコンサルティングが始まるというわけだ。確かに、最近、電話によるセールスが変わってきたと感じることが多い。

アメリカでは。すでに3割近くがこのインサイドセールスによって契約がなされているという。

そして、現在のウィルス騒ぎだ。

もはや、オフィスに行くことが悪のような様相となり、営業が、気楽に顧客訪問ができなくなってきている。

訪問販売でも、コンサルティングセールスにしても、顧客とのリアルな接点が持てないケースが増えてきた。加えて、今回の騒ぎのメリットとして、リモートワークやテレワークを「働き方改革」と称し、推奨している風情もある。

個人的には、リモートワークやテレワークが仕事の本来の姿とはあまり思えないが、この状況が続けば、顧客側のパラダイムが変わるだろう。むしろ、あまり好きではないリアルなセールスよりも、ネットワークを介したセールスやミーティングのほうを望むこともあり得るだろう。

「働き方改革」において、実はもっとも大きな課題となっているのは、営業かもしれない。プレゼンテーション能力や交渉力といったデジタルでは置き換えにくいスキルが必要な側面もあるが、営業にとって、クロージングまでのストーリーを描き、時間をかけたアプローチが、一人ひとりのノウハウとなっていた。それが、一人ずつ異なるゆえに共有化が遅れていたわけで、インサイドセールスとして、組織としてのナレッジ共有が可能になれば、その問題は解決する。

優秀な営業ほど、「相手に会うことができればなんとかなる」という思いは強い。それが会えないのだ。

営業の生産性向上が、実はそのプロセスにあり、インサイドセールスの出現によって生産性が上がり、結果、営業が不要になるという、なんとも皮肉で笑えない事態となろうとしている。

生産性革命が本当に必要なのは、営業職そのものなのかもしれない。

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