本人だけでは済まない! 就活セクハラという企業リスク

2020.02.14

組織・人材

本人だけでは済まない! 就活セクハラという企業リスク

増沢 隆太
株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

3月からの就活本格化を前に、すでに21就活(21年4月入社の新卒学生の採用)は始まっています。「就活セクハラ」と呼ばれる、就活する学生へのセクハラではついに逮捕者まで出ています。単に愚か者個人の所業では済まない、ハラスメント犯を出した企業にも深刻な被害をもたらすリスクです。

・就活セクハラを促進したOBマッチング
住友商事、大林組といった超一流企業で、就活中の女子学生へのセクハラ事件が発覚しました。現在の就活システムでは、現役学生がOBOGを訪問して話を聞く「OB訪問」が重要であると指導されます。一方で出身大学名というもっともデリケートな個人情報は、いくらリクルートのためとはいえ、本人許可もなく勝手に会社や出身大学が公開できなくなりました。結果として学生は、大学キャリアセンターでも、企業の人事部でもOBOGとの訪問にてこずるようになっています。(注:私自身はさまざまな大学のキャリア講座において、必ずしもOBOG訪問が必要では無いことを説明している)

ここに商機を見いだしたのはネット企業です。勝手に出身大学(最終学歴)情報をさらすのは違法でも、本人自らさらすなら問題ないでしょうということで、OBOG訪問のためのマッチングサイトというビジネスが出来上がりました。

仕組みは、後輩からの訪問を受け付ける社会人が登録し、学生は志望先企業で自分のOBOGに当たる人を簡単に検索、直接連絡ができます。出会い系と全く同じシステムで、そこから先は個人的にアプローチ、直接会うことができる訳です。自分でリストを探したり、OBとはいえ見ず知らずの人にアプローチしなくて良いなど、学生にもメリット満載のシステムは現在でも非常に多く利用されているようです。

そこから先は個人の自由、自由交流ですが、これがトラブルに発展したのが就活セクハラ事件です。アプローチしてきた女子学生に「個人的に採用に有利な情報をあげる」「個人的に面接突破のトレーニングをしてあげる」「個人的に悩みの相談にのってあげる」といった形での関係を迫る、酒を飲ませてホテルに誘うなど就活生という弱い立場につけ込む不らち者が現れたのです。。

・素人面接官
私はさまざまな企業で「面接官トレーニング」を行っています。面接は採用側が一方的に人物を値踏みし、一方的に売買する場ではありません。しかし心理的には、圧倒的に採用される側が柔い立場におかれており、採用者を代表する立場の面接官はともすれば勘違いしがちなものでもあります。

特に新卒一括採用システムにおいては、今の時期から4月くらいまで、面接が目白押しで、およそ人員削減で担当者も少ないことが多い人事部門だけで面接を完結はできません。結果、役員や他部門の人間が臨時面接官としてかり出されます。通常はマネージャー職など役職者が担当することが多いのですが、これが大きなリスク要因となります。

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増沢 隆太

株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。

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