顧客中心主義と温暖化防止の関係性

2008.03.09

ライフ・ソーシャル

顧客中心主義と温暖化防止の関係性

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

筆者は「顧客視点」の重要性を常に説いているが、それはマーケターとしての基本スタンスでもある。「顧客中心主義」や、「顧客満足の最大化」などを掲げる企業も多くなってきているし、「すべてはお客様のために」というスローガンをなども多く目にするようになってきた。よき世の流れだと思う。 だがしかし、もう少し注意してみてみると、気になることがある。

地球を一つの生命体として捉えたり、そこに大いなる意思を感じ取ったりする「ガイア信仰」はあってもかまわないのだが、比喩的に「地球がもがき苦しんでいる」というような表現はあまり好ましくないように思うのだ。なぜなら、その苦しむ地球を救うことが、あたかも崇高な使命であるかのような錯誤を与えるからだ。
一つの惑星に大きな環境変化が起こることは珍しくもない。もちろん、長い歴史の中でも地球の気温は劇的に変化してる。原因はともかくとして、変化は一つの姿であり、地球という惑星にとっては痛くも痒くもないのではないだろうか。地球自体を生命体としてとらえ、現状、もしくは少し前の状態が「健康な状態」であると考えるのは、人間にとって心地よい論ではあるが、実際には少々無理がないだろうか。

先の「顧客中心主義」が、実際には「お客様のため」、ではなく、「自分たちがひどい目に遭わないため」の活動であるがごとく、環境負荷軽減のための取り組みは、「地球のためにすばらしいことをしている」のではなく、自分たちのため、淡々と、しかし、徹底して行われなければならないのだと、認識するべきなのだ。
商売における人間の顧客と、環境保全活動における地球の関係における違いは、当たり前なことをきちんとやっても、特に地球は満足するわけではないことだ。それ故、一層、自らのために凡事徹底することが求められるのだ。
「すべてはお客様のため」でも、「地球のため」ではなく、「自分たちのため」なのである。

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コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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