「角ハイボール」は酒の世界を変えたか

2019.04.26

営業・マーケティング

「角ハイボール」は酒の世界を変えたか

猪口 真
株式会社パトス 代表取締役

完全にひとつのジャンルを築いた感があり、ジャンルというか、銘柄というか、メニューのひとしなというか、ひと言では片づけられないところまできた感すらある。 もはやスタンダードともいえる「角ハイボール」状態だ。

最初に紹介した会話にあるように、「ハイボール」という種類のお酒がある(と思っている人がいる、そしてウイスキーの銘柄は知らない(というか関係ない)人も多い。

スーパーに行くと、原酒不足と騒いでいるのに、1000円前後の国産ウイスキーが所せましとならんでいる。(あれは原酒を使っていないウイスキーなのか?)

さらにペットボトルに入った4リットルの角ウイスキーも売っている。ブラックニッカやその他のものもある。(あれを家で飲むのか?)

銘柄については、「まっさん」のおかげで「余市」は知っているが、「宮城狭」は知らない。

「白州はないのかあー」と言いながら、「知多」を飲む。(これはグレーンだ!)

ウイスキーに関して、実に不可解な現象がいろいろと起こる。

それでも、角ハイボールの尽力のおかげで、シングルモルトも売れてはいるようだ。

ただし、売り上げの推移を見てもわかるように、ビールの代わりに売れているとしか思えない状況であり、「とりあえずビール」が「とりあえずハイボール」となったとしか思えない。

なので、やっとウイスキーも復権かと思いきやそうでもないようだ。

バブル前、団塊の世代が人生を謳歌していたころは、クラブやスナックで飲む酒は基本的にウイスキーだった。

サントリーでも、ダルマからリザーブ、そしてローヤルと、当時にしては非常に高額な価格で出ていたにもかかわらず、みんなこぞって飲んだものだ。シーバスやジョニ黒などは、高級酒として誰もが憧れた。そのころをピークとすれば、今はその3分の1程度だ。

「角ハイボール」のすごさは、ウイスキーとしてではなく、「ハイボール」として売ったことだ。ウイスキーを楽しませるのではなく、ハイボールを飲ませることに成功した。

この視点のチェンジはすごい。

なまじっかのウイスキー好きは、どうしてもウイスキーの持つ深さやバリエーションを言いたくなってしまう。産地がどう、樽がどう、年数がどう、ボトラーズがどう、誰も聞いていないのに語ってしまうのが難点だ、

そういう人間を相手にしていたら、この超ヒットはなかっただろうし、そこがメジャーになりえないことを悟りきったのだろう。

「角ハイボール」でなければなかったのだ。

しかし今後、この強力すぎるブランドを超えるのは並大抵ではない。

「角ハイボール」のあとも、同じサントリーからは「ジンビーム」、キリンからは「ホワイトホース」が出て好調らしいが、これもまた筋が違うと思う。バーボンがどうの、スコッチがどうの言っているが、残念ながら関係ない。「角」にはかなわない。

ただ、こういうことが続いてしまうと、日本の酒文化は大丈夫なのだろうかと他人事ながら心配してしまう。

世界的に展開するMHDの仕掛けはおしゃれだ。女性にも人気のあるグレンモーレンジィにはソーダにオレンジピールを添えたり(スライスではないぞ)、タリスカーには、よりスパイシーさを出すために、ブラックペッパーを入れたソーダ割を提案してくる。

やはり、こうした世界のほうが楽しいし、次への楽しみも出てくる。

とはいえ、「角ハイボール」を世に出したほどの企業なのだから、次はさらに「あっ」と驚くものが出てくるに違いない!

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