世界的な金利低下の動き

2019.04.01

経営・マネジメント

世界的な金利低下の動き

LEADERS online
南青山リーダーズ株式会社

今週に入り世界的に主要国の金利低下の動きが激しくなりました。各国中央銀行当局者が揃って景気後退のリスクがあるとの文言を頻繁に使うように思います。 一般的には、金利低下は安全志向のリスク回避の動きとして債券市場・金利市場に資金が流れ込むと解釈されます。今回のレポートでは、日米欧、そしてオセアニア諸国の債券、金利の動きを検証してみたいと思います。

長期金利10年米国債利回りは直近2.40%近辺まで利回り低下の動きになってきています。市場では3ヵ月短期国債Treasury Bill(直近2.45%)とは逆イールドカーブ(inverted yield curve)になっていると目されています。
投資家のリスク回避思考が強く、資金が急速に長期債券市場に流入しているため、長期債の方が急速に利回りを下げている結果起きている現象なのでしょう。そして短期金利がその動きについて行けない状態にあります。

筆者はドル短期金利先物(3ヵ月物)の動きで、FRBの金融政策の判断材料にしています。下記グラフ(出所:シカゴ先物取引所)は来年3月限の昨年12月からの価格の推移を示しています。金利先物では価格の上昇は利回りの低下を意味しています。
現在97.795ですが、利回りベースでは2.205%(100-97.795)となります。短期金利ディーラーは最もFRB金利動向に敏感になっています。ディーラーの思惑がこのチャートに表れていると言えるでしょう。
この水準は、来年3月頃の3ヵ月ドル金利は2.205%であることを意味します。現在の政策FF金利の上限金利は2.50%です。
筆者はこれまで来年は利下げもあるのではと当レポートで述べてきました。この水準から判断すると来年3月頃にはFRBは0.25%の利下げに踏み切っていると判断できます。
今年12月限2.345%です。この水準では、利下げが行われる可能性も考えられます。市場では次第に年内から来年にかけては、利上げではなく、利下げが実施されるのではと考えていると言えます。合わせて、米国でも金利低下が著しい状況があります。

欧州:Brexitの行方は不透明

ECB(欧州中央銀行)については今月初めのレポートで最新の金融政策については詳しく説明していますから、この場では省きます。
ユーロ圏経済指標は、相次いで悪い数字が出ています。特にユーロ圏、そして主要国であるドイツの景況感の悪化が目立っています。
そして物価上昇率も予想より悪い数字が最近出てきている。ECBの利上げは来年以降に持ち越されるか、或いは現状の量的緩和政策の継続を強いられそうに思います。
また、Brexit(英国のEUからの離脱)問題が依然として明確ではありません。3月29日は本来の離脱日でしたので、この要因も債券市場に資金が向かうことになります。

下記グラフ(出所:ウォール・ストリート・ジャーナル紙)はドイツ連邦債10年の過去1年の利回りの推移を現しています。ご覧の通り綺麗な右肩下がりの利回り低下を示しています。現在は-0.10%とマイナス圏に沈む動きになっています。
同じユーロ圏では、財政不安のあるイタリア債10年2.50%、ギリシャ債10年3.80%、格上げが発表されたポルトガル債10年1.25%、そして経済が主要ユーロ圏で一番のスペイン債10年1.10%で、共に利回り低下の動きとなっています。
歴史的に逃避資金の受け皿とされてきたスイス連邦債10年は-0.40%まで低下してきていますし、ドーバー海峡を挟んだ英国ギルト債10年も1.00%とこちらも低下の動きを強めています。

次のページオセアニア諸国:世界的な景気後退に同調

続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。

Ads by Google

この記事が気に入ったらいいね!しよう
INSIGHT NOW!の最新記事をお届けします

LEADERS online

LEADERS online

南青山リーダーズ株式会社

専門家による経営者のための情報サイト

フォロー フォローしてLEADERS onlineの新着記事を受け取る

一歩先を行く最新ビジネス記事を受け取る

ログイン

この機能をご利用いただくにはログインが必要です。

ご登録いただいたメールアドレス、パスワードを入力してログインしてください。

パスワードをお忘れの方

フェイスブックのアカウントでもログインできます。

INSIGHT NOW!のご利用規約プライバシーポリシーーが適用されます。
INSIGHT NOW!が無断でタイムラインに投稿することはありません。