世界的な金利低下の動き

2019.04.01

経営・マネジメント

世界的な金利低下の動き

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今週に入り世界的に主要国の金利低下の動きが激しくなりました。各国中央銀行当局者が揃って景気後退のリスクがあるとの文言を頻繁に使うように思います。 一般的には、金利低下は安全志向のリスク回避の動きとして債券市場・金利市場に資金が流れ込むと解釈されます。今回のレポートでは、日米欧、そしてオセアニア諸国の債券、金利の動きを検証してみたいと思います。

日本:イールドカーブが継続

3月15日開催の日銀金融政策決定会合で、何らかの金融緩和政策を発表するのではと、金融市場は色めき立ちました。日本は今年10月の消費税引き上げを控え、政府は景気後退の局面は避けたいところです。
金融政策を司る日銀としても、金利を低位で安定させ、流動性供給を強める方向で行くのではと思われました。米中貿易摩擦懸念、欧州ではBrexitがどのような方向に向かうのか不透明な状況が続きます。

結果として金融政策に変更はなく、これまで通りイールドカーブ・コントロール(長短金利操作)を中心政策において、
①短期金利は、日銀当座預金のうち政策金利残高に-0.1%とマイナス金利を適用する。
②長期金利については、10年物国債金利がゼロ金利程度で推移するように国債を買い入れる。買い入れ額は年額約80兆円をめどに、弾力的に買い入れる。

としています。市場では、政策金利をいじらないものの、10年債利回りの下限のマイナス幅を広くする、または買い入れ額の増額を決定する、またETF(上場投資ファンド)の買い支えを強力にするといった策に出るのではないかと思惑が飛び交いました。

市場の動きとして日本国債10年の動きを見ましょう。下記グラフ(出所:ウォール・ストリート・ジャーナル紙)は過去1年間の利回りの推移を示しています。
直近では-0.09%近辺に位置します。昨年10月頃は日銀が引き締めに動くのではとの観測がでて、利回り上昇の動きがありました。
それ以降、特に今年に入り、外部要因からの景気減速感が強く、それと共に、株式の低迷、そしてリスク資産の債券への滞留を引き起こしていると言えます。
政府としても秋の消費税引き上げ時期までに、是非とも景気を回復させ、消費税引き上げの土台作りをしたいところです。日銀としても協力を惜しまないのではと考えます。

米国:量的緩和策が継続の見通し

3月20日開催のFOMC(米連邦公開市場委員会)では、経済活動は昨年第4四半期の堅調なペースから減速したと声明文で表現されていました。
政策金利(FF金利2.25%~2.50%)の調整には慎重姿勢を維持し、利上げには忍耐強く(patient)するとしています。記者会見の場で、パウエルFRB(米連邦準備理事会)議長は、patientの意味を問われ、利上げの判断を急がないという意味であると明言されました。
また量的緩和策を終了する方向に向かっていたのですが、その方針を戻すとしています。バランスシートの縮小は5月からペースを縮小して、9月に終了するとしています。現在最大300億ドル購入を150億ドルと半減すしてしまいます。
やはり現在の景気減速感を払しょくするには、量的緩和を復活するのが得策なのではとの判断が働いていると思います。このため、ドル長短金利が急速に低下してきています。

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