「築地銀だこ」はなぜ成長を続けるのか? 創業者の『夢』に学ぶ

2018.12.19

経営・マネジメント

「築地銀だこ」はなぜ成長を続けるのか? 創業者の『夢』に学ぶ

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南青山リーダーズ株式会社

文化放送「The News Masters TOKYO」のマスターズインタビュー。 「この社長にぜひ会いたい!」とパーソナリティのタケ小山が訪れたのは「築地銀だこ」の創業者、株式会社ホットランド代表取締役の佐瀬守男さん。 今や知らない人はいない「築地銀だこ」にたどり着くまでには、数々の失敗があったと振り返る。そんな佐瀬さんのチャレンジはまだまだ続いていく。 (「銀だこ」の原点は焼きそば!? 失敗続きでも諦めなかった“お母さんの言葉” https://www.insightnow.jp/article/10316 )

僕たちにできるのは、笑顔になれる場所をつくること

「仕事をしていて一番嬉しいのは、お客さんが楽しそうに笑っているのを見ることです」その想いは、社長の佐瀬さんだけではなく社員全員が共有している。それが形となった1つの例が、東日本大震災の後に立ち上げた「ホット横丁石巻」だ。

きっかけは、社員の家族が被害に遭ったことだった。「炊き出しに行くぞ!」と現地に乗り込んだ佐瀬さんたちは、津波によって大きく変貌してしまった町の姿を見て衝撃を受けた。

「一度の炊き出しだけで、帰ってきてしまっていいのか。もっと他にできることはないのか?」そう考え続けたという。そして、たどり着いた答えが「笑顔になれる場所をつくる」ことだった。

「僕たちには、ビルを建てたり橋を作ったりは絶対にできない。でも、笑顔になれるような場所をつくるのはできるんじゃないか」何もなくなった石巻を見て、「だったら、全部、僕たちが作ろう」と決めた。

目標は震災から100日で店を出すこと。ラーメン屋、焼き鳥屋、パン屋などそれまでやったことのないジャンルにも挑戦した。「すべて温かいものを提供する店ばかり、10軒を束ねた横丁を作りました」。横丁の中には、小さな運動場や映画館もつくった。

「取引先様にもご協力をいただいて、東京から50人くらいが現地に入って、体育館みたいなところで共同生活をしながら作り込んでいきました」オープン初日、予想を上回るほどのたくさんの人がこの場所に集まった。

「お客さんたちが、わーっと近づいて『生きててよかった!』って抱き合っていました。震災以来ずっと封印していたお酒を飲んで笑って、カラオケで歌って本当に楽しそうだった。その様子を見て本当にうれしかったです」

その後も、ホットランドは全国各地の被災地で様々な支援を行っている。

「僕たち会社も、生かされている存在。その中で、たこ焼きにできることは温かいものを届けることと、人を笑顔にすること。それしかないと思っているから、役に立てるならどこへでも行きたい。それが、ホットランドという会社なんだと思っています」

「TAKOYAKI」を世界へ

佐瀬さんには、まだまだたくさんの叶えたい夢がある。その1つが、タコの養殖を成功させることだ。「今も一生懸命取り組んでいるんですが、まだ道半ばです」

小さいタコを捕まえて、それを大きく育てる技術はできた。大きくなったタコが産んだ卵を孵すことにも成功した。だが、孵った稚ダコを大きくする方法が確立できずにいるという。餌の問題、水質の問題。自社で熊本に研究所を作り、いくつもの大学の研究室と連携してチャレンジを続けている。

「惜しいところまで来ているんです。あともう少しだと思う」世界中で水産資源の不足が叫ばれている昨今である。このタコの養殖が成功すれば、世界にインパクトを与えるビッグニュースだ。

「一昔前は、タコを食べる国は少なかったんですが、今ではタコ料理は世界中で好まれているんです」そのため、需要が高まって、供給が追い付かない状況になっている。ホットランドでは、その状況を少しでも改善するために、養殖の研究と並行してタコ漁の指導にも乗り出している。

「南米でもタコが獲れるんですが、タコ漁の文化がなかったからいまだに素潜りで手づかみなんです。それじゃあ大変だから、熊本から漁師を連れてタコつぼ漁のやり方を指導しに行きました」アフリカのモーリタニアがタコの一大輸出国となっているのも、JICAがタコつぼ漁を教えたおかげだったという。

「タコはつぼで獲ってもらいたいんです。恐れているのが、大きな船を使ってトロールで一気に獲ってしまうこと。それをやられると一年で生態系が変わってしまって、その後獲れなくなってしまいます」

さらに、広い範囲に出店したいという夢もある。日本国内にもまだ出していないエリアがある。ハイボール酒場や横丁も、もっと進化させていきたい。さらに、海外への出店も増やしたい。

「今回、ロスアンゼルスにアメリカでの一号店を作りました。ふうふう言いながらたこ焼きを食べて、すごく楽しそうで売れ行きも好調です」二号店は、もう少し大きめの店でお酒も売りたいと考えている。

「笑顔を提供できる会社でありたい」それが、社是です。

穏やかな笑顔を浮かべながら、そう語る佐瀬さん。数々の失敗の後に見出した「築地銀だこ」がこれほどまでに成功したのは「人との出会いがすべてよかったから」だという。

若き日に胸に抱いた夢を大切に、多くの人をその情熱で巻き込んで走り続けてきた30年。

これからの日々も、佐瀬さんの笑顔の奥にある熱い想いに共感する人たちとの出会いを積み重ねて、どれだけの夢をかなえていくのだろうか。

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