「のれんは血よりも濃い」 船橋屋 代表取締役 八代目当主 渡辺雅司 〜老舗ファミリー企業が守る伝統と攻める経営〜

2018.10.24

経営・マネジメント

「のれんは血よりも濃い」 船橋屋 代表取締役 八代目当主 渡辺雅司 〜老舗ファミリー企業が守る伝統と攻める経営〜

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江戸固有の和菓子「くず餅」の製造販売を手がける「船橋屋」は、江戸時代から続く創業211年の老舗企業だ。8代目当主、渡辺雅司氏にくず餅の持つ知られざる魅力と、医療や健康分野への展開計画などについて聞いた。

実は以前に比べて発酵臭を抑えています。
ヨーグルトや納豆は酸っぱくても発酵食品であることを認知されているので大丈夫なのですが、くず餅の場合はそうではないので、「匂い」を消しています。そのほか、仕込みの間にクリスタルボウルの音色を聞かせています。
イロイロ試しましたが、これが一番良かった。おいしさの秘密です。

また、発酵させるために450日も寝かせるので、仕込み水が大事になります。
岐阜と沖縄に工場がありますが、天然水をくみあげて使っています。

早川)450日間、発酵させた商品の賞味期限は2日だそうですね。

渡辺 「刹那の口福」と言いまして、本当に一瞬なんですが、「幸せを楽しんでいただきたい」という思いがあるものですから。
保存料を入れたり、真空パックを使ったりすれば、もっと販売量を増やせて、売上も伸びると思いますが、人間は自然に誕生するものだから、「自然なモノ」を食べてもらいたいのです。
それができないなら、もうそこでは売らない。
450日間かけて作ったものの、賞味期限が2日というのは、江戸っ子の「潔さ」と「儚さ」と「粋」だと思って愚直に守り通しています。

早川)社長ご自身の健康や若さの秘訣もくず餅にありますか?

渡辺 あると思います。
発酵しているものなので、腸をきれいにしてくれるのか、食事するたびに便通があります。

実は、昭和40年代に比べて食品を通じて体に取り込まれる有害物質は7倍ほどに増えているといわれ、そのため身体に不調が出てくる人が増えています。
そういう状況に加え、便通が悪いと困りますよね。肉を37度近い環境に24時間置いたらどうなると思いますか?それがお腹の中にずっとある状態は、身体に良くないと思いませんか。
くず餅を分析したら、13種類の乳酸菌が入っていることがわかりました。
病気の原因は腸にあるとも言われます。乳酸菌は非常に効果があると思っています。

早川)健康食品はもちろん、和菓子や和スイーツなど競合商品があふれています。強みはどこでしょうか?

渡辺 誰にも作れないってことではないでしょうか。
例えば、大福は作ろうと思えば、誰にでも作れると思います。
しかし、くず餅は450日かかりますから。200年のノウハウは、ほかにはなかなか真似できないと思います。

伝統を守るためにこそ必要だった改革

早川)100社があれば95社が潰れていくといわれるビジネスの世界で、220年以上も事業を続けるのは大変なことです。
経営に関する方式や哲学、先代から引き継いだDNAなどはありますか?

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