投資対象としてのオーストラリア考察

2018.09.03

経営・マネジメント

投資対象としてのオーストラリア考察

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今年前半の当レポートでは、豪経済、政治は安定しており、また豪債券利回りは高く、豪ドル及び豪債券、株式投資は適格であると記述した記憶があります。今回、再度検証して、今後の投資は依然として適格であるか考察してみましょう。

それでは、中央銀行の金融政策を見ましょう。RBA(豪準備銀行)は、政策金利(OCR オフィシャル・キャッシュ・レート)を1.50%に設定しています。昨年7月にそれまでの1.75%から0.25%引き下げ、1.50%の水準を長く維持しています。
RBAのインフレ目標は2~3%であり、この中間の2.5%前後に維持することを目標としていますので、現在のインフレつまり消費者物価指数2.1%とこのインフレ目標の範囲内に収まっています。
ロウ総裁は、豪経済の見通しからして、金融政策について、政策金利の引き上げの方が、引き下げよりも可能性として強い見通しの発言をしていました。世界経済の成長とともに、先進各国で引き上げの機運が強く、オーストラリアも追随するように思います。

米中摩擦に翻弄される?

債券市場利回りを見てみましょう。下記グラフ(出所:ウォールストリートジャーナル紙)は、2016年からの豪連邦債10年の利回りの推移を示しています。これを見ると、2016年中頃の2.50%を下回る時期がありましたが、概ね3.0~2.5%の範囲で推移しています。つまり、大きくは変動することなく高い利回りを維持していると言えます。
先進国の中ではニュージーランド債と共に高利回りが保証され、本邦投資家の中で人気を博していました。ところが、最近では、米国10年債が3.0%近く、また米ドルが高いことから、一時期ほどの投資対象人気はないようにも思います。
米トランプ政権の中国へのタカ派的けん制、つまり対中国への貿易赤字を縮小するように求める動きから貿易摩擦となり、何かと牽制球を投げ続けているようです。政治的にも北朝鮮への非核化を求める動きに対して中国が影響力を行使しているとして摩擦を生じさせているようです。
トルコ、そしてアルゼンチンなどの新興国への摩擦も大きく、そんなことからドル独歩高の様相となっています。
そんなことから、豪連邦債と同様に3%近い債券利回りが期待できる米国債の方向にどうしても本邦投資家も目が向かうことも否めません。ちょっと豪債券投資に影が差してきているのではと筆者は一抹の不安を覚えます。

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まとめ

そんな投資家の不安を反映しているのが豪ドルの為替相場ではと思います。下記グラフは豪ドルの対円相場です。昨年11月からのチャートです。これを見ると長期の下降トレンドもようにも見えてしまいます。
赤い線が長期のトレンドを見る指標である90日移動平均線です。これが右肩下がりの線を形成しています。ドル円は円安傾向にあり、円安傾向が続けば、必然的に豪ドル高になるのですが、そう言った傾向には至っていません。
つまり本邦投資家が、利回りの比較から米国債の方が現在では投資対象として適格であると見ています。それが、米国債人気から10年債も3%の壁を上回っていかない要因であると言えます。
そして豪経済の対中貿易依存度の高さは、懸念材料になっています。一部には中国経済がピークを越して、下降期間に入ってしまうのではないかと言う懸念も出てきています。こうした要因の反映が豪ドル対円の相場に影を落としていると言えます。
現在81台であり、70円台に突入する可能性も否定できません。しかし金利差から見ると、RBAの次の金融政策は利上げであると公言していることから、70円台に突入したとしても、長くは続かないのではと筆者は考えます。

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