データには限界がある。赤字の路線バス事業を救った「お客さんの創り方」

2018.07.31

経営・マネジメント

データには限界がある。赤字の路線バス事業を救った「お客さんの創り方」

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文化放送「The News Masters TOKYO」のマスターズインタビュー。 パーソナリティのタケ小山が今回お迎えするのは、イーグルバス社長の谷島賢さん。 路線バス業界は国内の約4000社のうち7割が赤字を抱え、業界としては縮小の一途をたどっている中、イーグルバスは利用者を年々増やしています。

この経験から谷島氏は、「もともと観光バスは下請け的な業種ですが、お客様を創っていく必要があるのです。この考えは、会社が成長する一つの要件です。当時のことを忘れないという気持ちを込めて『創客』を掲げています」と「創客」の重要性を強く語った。

お客様を創ることは、違う言葉で言えば、マーケティング。

お客様のニーズ合うような製品、サービスを創っていくのがマーケティングの流れだ。

「うちが新しいことをやったのではなく、当たり前の業界に近づけたということです。製造業では当たり前にやっています。工程管理や品質管理ですね。それをバス事業ではできていなかったというのがあります」と、当時バス業界に足りていなかったマーケティング力を指摘した。

バスの運行データを取り、状況を見えるようにした谷島氏。

しかし、「私たちは見えれば解決されると思っていた。そして実際に見えたが、データで見えただけでは問題が解決はできなかったということですね」と、それだけでは事態は好転しなかったと話す。

その理由と、次に起こしたアクションについてこう説明した。

「それはどういうことかというと、運行の比率は変えられます。例えばバスと鉄道が接続してないって時にはそれを直す。これを私たちは最適化と呼んでいるのですが、これで非常に便利になるし、あるいは遅れて走っていると回復運転をしているので、そこを調整してあげるだけで運転手さんが急がなくてよくなる。これはある意味品質なんですよね」

話はデータによる改善の限界の話題に。

「だけど、こういった改善って、3年やると改善するとこがなくなっちゃうんですよ。地域のバスの利用者っていうのは年々減少しているんです。そうすると頭打ちになって食らってくんです」

それを乗り越えるために谷島氏が着目したのは、バスとは人がたくさん乗っても乗らなくても変わらない固定費だということ。

「利用者が一定であれば固定費を下げる。固定費が一定であれば利用者をあげる。どっちかなんです」

しかし、現状利用者は減っている。この状況から辿り着いた最善の案が、観光客を増やすことだった。

「今、地方のバスって朝・夜の通勤時間は人が乗っているが、昼間は空気運んでいるような状態ですね。でも観光客って昼間来るんですよ。なので需要のギャップを埋めないといけない。月曜から金曜日は、通勤通学があるけれど、土日は通勤しないから利用が減る。だけど、観光客は土日に一番くる。ということなので、観光客を入れれば実はギャップを埋められる」これにはタケも納得の様子。

次の問題は、どのように観光客を増やすのかということ。データ分析による最適化では観光客を増やすことはできない。

「データを使った改善、最適化というのは、バス会社単独でできるんですよ。だけど、人をこちらに連れてくるというときは、地域の方と連携しなければできない。特に観光は、地域を観光興ししなければならないんですよね。そう言ったところで、最適化の次は需要創造をしていく、それはやっぱり地域連携という当たり前でよく言われるような、町づくりに辿りついちゃうんですよ」

バス会社が街興しをするという発想はこうして生まれたのだった。

「町の真ん中にバス停留所を作ってそこに結束させて、次の段階としたらここに魅力的な施設や観光客のための施設を作っていくと、そこに人が集まってくる。その時にバスを使っていただく」

空港などでよくあるハブ&スポークをバス業界に取り入れたのだった。

データの限界について谷島氏はこうまとめた。

「データそれだけで魔法のように改善してしまうということではなくて、最終的にはその地域に人が集まる仕組みを作らなければいけない」

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