サッカー・ロシアワールドカップ。その“熱量”と“経済効果”は比例している!?

2018.06.29

経営・マネジメント

サッカー・ロシアワールドカップ。その“熱量”と“経済効果”は比例している!?

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2018年6月14日、サッカー・ロシアワールドカップが開幕しました。 このスポーツイベントは言わずと知れた4年に一度開催される、世界中を熱狂させる国際的なビッグイベントですが、「4年に一度開催されるスポーツのビッグイベント」といえば、そう、オリンピックが思い浮かびますね。 しかしその“熱狂ぶり”から見れば、サッカー・ワールドカップのほうがはるかに高いようなのですが、実際のところ、サッカーというスポーツに対する“熱量”と“経済効果”は比例しているのでしょうか? ── 今回は、過去のビッグイベントで動いたお金をもとに、ロシアワールドカップの経済効果について考察します。

⑤大会前の投資でGDP(国内総生産)が上昇

ワールドカップの開催は、何年も前から準備されます。その過程で、いろいろな企業が大会開催を目指して多くの投資をします。これによってGDPが押し上げられていくと言われています。

これらの経済効果によって、国内経済が上向きになると予想されているわけです。

ロシアワールドカップの経済効果は、3兆円規模!?

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では、今回のロシアワールドカップは、どれほどの経済効果が見込まれているのでしょうか。

大会組織委員会は、ロシア国内の経済効果が、2013年〜23年で少なくとも260億ドル(約2兆8400億円)、最大で308億ドル(約3兆3800億円)にのぼると試算した報告書を発表しています。その主な要因には、観光客増加と大規模建設への投資が挙げられています。

一方で、大会はロシア国内の11都市12会場で試合が行われ、観戦チケットは240万枚以上を販売。その過半数はアメリカ、南米、中国などの国外で購入されていると言われています。開催国にとっては、経済的に恵まれていない地方都市のインフラが整備されるとともに、海外からも多くのサポーターが訪問することによって大きな経済効果が見込まれているわけです。

これに対して大会総経費は、110億ドル(約1兆2000億円)と見積もられています。この70%は政府や地方の予算で賄われたとされ、GDPの1%に相当する額の押し上げ効果が見込まれているのです。しかしながら、ロシアの実質成長率は17年に1.5%、18年の1〜3月で1.3%。開催にあたって目立った効果は見られていない……という見方が、今大会の経済効果の現実とされているのです。

経済効果は限定的で、地方都市に恩恵!?

アメリカの格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスによると、ワールドカップがロシアに与える影響は「非常に限定的」としています。これはなぜかというと、経済効果が3兆円ほどと見込まれている大会に対して、ロシアの経済規模は全体で1兆3000億ドル(約142兆円)。実はこの比較から、読みとして「経済的なインパクトをほとんど与えないだろう」とされているのです。

ただし、開催都市「カリーニングラード」「モルドビア」などは、もともと税収の少ない地方都市。しかし巨大インフラ整備等から、地方都市にとっての恩恵(観光利益)が見込まれているとされていますが、それでも大会期間はわずか1カ月ほど。ここでも大方の見方として「継続的利益をもたらすには至らないだろう」とされています。

次のページ課題は、限定的経済効果を永続的好景気につなげること

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