スターバックスに学ぶCS向上のポイント

画像: Jude Lee

2011.09.21

経営・マネジメント

スターバックスに学ぶCS向上のポイント

松井 拓己
松井サービスコンサルティング ・サービスサイエンティスト

スターバックスと言えば、CSの高さやリピーターや愛用顧客が多いことが有名です。なぜスターバックスがファンを獲得して支持されるのかを、サービスサイエンスを活用して考えることで、CS向上やリピーター獲得のポイントを抽出してみたいと思います。

ただし、「CS向上の努力の方向」というのも、サービスのコンセプトに合った方向性でなければなりません。やみくもにマニュアルを廃止して、ビジョン共有と権限移譲をしたところで、成果に繋がるとは限らないのです。つまり、マニュアルが非常に有効なサービスもあれば、そうでないサービスもあるということです。大切なのは、自社のサービスがどういったサービスの種類・コンセプトなのかをしっかりと定義して、それに合った努力は何かをしっかりと考えるということです。

■サービスの種類を定義する

そこで、サービスを例えば2つの切り口で分類してみると、いかにサービスの種類によって努力のポイントが違ってくるかが分かると思います。今回のケースでは「手順型⇔気付き型」「ハイトレーニング⇔ロートレーニング」の2軸で分類してみました。
「手順型×ロートレーニング」のサービスには、例えば配送サービス・清掃サービスが該当します。ここでの努力のポイントは、「マニュアル化、手順化、チェックリスト化」になります。
「気付き型×ハイトレーニング」のサービスには、例えばコンシェルジュサービスやカウンセリングなどが該当します。この場合の努力のポイントは、「共感性、ビジョン共有、権限移譲」となります。
ここで言いたいのは(どちらが優れているかということではなくて)、「手順型×ロートレーニング」サービスでの努力のポイントを、「気付き型×ハイトレーニング」サービスに適用しても、効果的なCS向上施策にはなりにくいですよね、ということなんです。その逆も然りです。

ですので、CS向上の努力のポイントを考える際には、自社のサービスの種類・コンセプトは何で、そこでの効果的な努力とは何かを考えることなのです。それを考えるためのヒントとして、「CS向上の方向には2つある」ということと、「サービスを2軸で分類してみる」ということをご紹介させて頂きました。
ちなみにこういった視点で見てみると、スターバックスは「コーヒー提供サービス」ではなくて「コンシェルジュサービス」であるということになりそうです。だからこそ、「マニュアル」ではなく、「ビジョン共有と権限移譲」によるサービス品質向上に価値があるんですね。スターバックスの他店にはない魅力が、このように見てみると少し論理的に理解できたような気がします。

他にも今回取り上げた「スターバックス事例を通してサービス品質向上を科学する記事」であったり、「コンシェルジュサービスの本質についての記事」もご関心ながありましたらご覧ください。




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松井 拓己

松井サービスコンサルティング ・サービスサイエンティスト

サービス改革の専門家として、業種を問わず数々の企業を支援。国や自治体の外部委員・アドバイザー、日本サービス大賞の選考委員、東京工業大学サービスイノベーションコース非常勤講師、サービス学会理事、サービス研究会のコーディネーター、企業の社外取締役、なども務める。           代表著書:日本の優れたサービス1―選ばれ続ける6つのポイント、日本の優れたサービス2―6つの壁を乗り越える変革力、サービスイノベーション実践論ーサービスモデルで考える7つの経営革新

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