それでも、ユニクロとマクドナルドは、まだ復活できないと感じる理由

画像: Nori Norisa

2015.09.03

営業・マーケティング

それでも、ユニクロとマクドナルドは、まだ復活できないと感じる理由

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

 2015年9月2日の日本経済新聞と日経MJにファーストリテイリングとマクドナルドの新たな動きに関する記事が掲載された。短期的とはいえ、傘下のユニクロの業績不振が昨今伝えられたファーストリテイリングと、長きに渡る泥沼状態から抜け出られないマクドナルド。だが筆者は「どちらも復活にはつながらない」と感じた。その理由は「不振の本質を突いていないから」だ。

■期待できる地道な改善と身内票の不安
 2015年9月2日の日経MJの「戦略ネットBiz」のコーナーには、「マクドナルド、アプリで改善」「信頼回復へ顧客の声を聞く」という記事が掲載された。<日本マクドナルドが4月からスマートフォンのアプリを活用して顧客の声を集め始めた>ということだ。<吸い上げた声をリアルタイムで現場に配信し、各店長やアルバイトが改善に取り組む>という。具体的には<マクドナルドが導入したアプリ「KODO(コド)」は来店客がスマホからその店の商品提供のスピード、接客対応、店内清掃などを5段階で評価する。自由に記述して具体的な改善要望も送信できる。アンケートに答える際には個人名を入れなくてもよく、割引クーポンがもらえるようにし、顧客が協力しやすいように配慮した>とのことだ。記事では、クレームにつながりやすいトイレやごみばこ周辺の清掃に気を配るあまり見すごしがしちしだったテーブル周りの清掃状況に対する問題が浮かび上がってきたり、来店客からの要望で「荷物カゴ」が設置されたり、やはり「接客時に笑顔がない」などの意見が寄せられたという。それに対してマニュアルを見直したり、レジでの「ご来店ありがとうございます」のひと言を加えたり、荷物カゴを早速設置するなどの改善を行っているという。

 顧客の要望に真摯に一つずつ応えるということは非常に大事だ。これがもっと早く行われていればという気もするが、現在の店内を思い描いて見ると、必ずしもこれだけでは復活は難しいように思う。かつての主力顧客であったファミリー層の姿はすっかり消え、低価格な飲料などで時間を潰す人や、パソコンを広げるサラリーマンの姿が多く見受けられる。この辺りの客層は客単価が低く、回転率も悪い、現在マクドナルドが低迷している一因を担っている顧客層といえるが、今、店内はそんな客で満ちあふれている。記事でも<そもそもマクドナルドに行かなくなった顧客はアンケートに答えない可能性がある>と指摘している通り、寄せられる回答は現在、「(利益に貢献しているか否かは別として)それでもマクドナルドを離れていっていない人達」という、いわば「身内票」に近い。それでは、離反していった、収益性も高い本来のターゲット層である多くのファミリー客からの意見を収拾することはできない。また、記事では<寄せられる声の中には手厳しい意見が多い>とあるが、その意見をいうことを諦めてしまった人はそもそもアプリを使ってまで意思表明をしないだろう。回答するのは「割引クーポン」という謝礼が多少なりともモチベーションになっているのは間違いない。だとすると、もっと数多くの「物言わぬ顧客(Silent Majority)が存在するはずだ。さらに、もっと積極的に、離反客にリーチする方法を考え、その声までを拾って改善を行い、その離反客が安心して帰ってこられる環境が整うまでは、本格的な復活は難しいのではないか。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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