マクドナルドは復活するのか?~新興勢力と既存勢力攻勢~

画像: Shinichi Sugiyama

 ハンバーガー業界に次々と新興勢力が登場している。また、迎え撃つ既存勢力もふと気がつくと強大なリーダー企業・マクドナルドの迷走によって相対的にポジションが変化して優位なポジションを占めている。そうなってくると、一層厳しくなるのがマクドナルドの復活だ。

■マクドナルドのこれから
 バリュープロポジションで見ると、マクドナルドの復活は価格面で見ると、一つは100円マックなどで低価格に寄りすぎたポジションを改めることだ。そうすることで、100円メニューで延々と長時間粘る客で店内の雰囲気が悪くなり、ファミリーなど従来の中心顧客層の足が遠のくという問題も解決できるだろう。新規投入した200円メニューの評判は比較的良いようなので、「あと、たった100円プラスしただけですごく美味しい(価値が高い)」と認識されれば「グッドバリュー」のポジションに移行できるかもしれない。しかし、ひとたび続くメニューで評判を落とすようなことがあれば、「価格が上がって品質はそのまま=改悪」のポジションと認識されてしまうので気が抜けない。
 一方、レギュラーメニューをどうするかだ。500円セットなどの導入で「単なる値上げ」のポジションにから割高感を払拭して「中価値戦略」のポジションに返り咲くことを意図しているように思われる。しかし、そこはマクドナルドと価格差がないことに気がついた消費者によって、モスやフレッシュネスがしっかりと座を占めることになっている。その座を取り返すなら、元々質の高さをうたっていた両社と対抗できるような商品の質の向上も必要となるだろう。モス、フレッシュネス両社は新興のプレミアムバーガーの登場によって、相対的にプレミアムから中価値に移行したわけであり、マクドナルドが以前、中価値の座にいた時代の中価値とは質の面において向上している。

 既存・新興勢力乱戦のハンバーガー業界新時代。バリュープロポジションの各ポジションの持つ意味(求められる価値のレベル)も変化しつつある今日、シェアNO.1のマクドナルドが、名実共に本来の王座を奪回し、復活するためには小手先ではない抜本的な改革が求められるのは間違いないだろう。

※文章中の事実情報は日経MJ11月16日号を参考にしました。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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