B to Bのマーケティングは何が難しいのか?

画像: Nguyen Hung Vu

2015.07.24

営業・マーケティング

B to Bのマーケティングは何が難しいのか?

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

その業界にいないとなかなか解らないのがB to B(Business to Business=企業間取引)の世界。コンシューマー相手の ビジネス(B to C=Business to consumer)の世界にいる人にはなかなか理解しがたい部分も多い。そんなB to Bマーケ ティングの基本を今回は整理してみよう。

もちろん、別のポジショニングを示す企業も重宝がられることも多い。普通の汎用品を、極めて安価に、期間には余裕を持って納めさせてもらう。つまり、価格特化型だ。このように、ターゲット企業のニーズとそれに対応したSTPを実現するQCDで勝負するのがB to Bの最大の特徴の一つなのだ。


但し、「B to Bマーケティングの難しさ」という本稿のタイトルに併せてこの項の結論を出すなら、例示したようなQCDでの明確なポジショニングを示すのは容易なことではない。調整がしやすいコスト(C)部分で勝負して利益が出ないどころか、赤字に陥ることもある。クオリティー(Q)の一つにはアフターサービスや技術サポートなども含まれるが、いわゆるそうした「付加価値」で勝負し、結果として「付加コスト」を延々と引きずってしまうこともある。納期(D)を短くせんと無理なスケジュールを組んで、デスマーチに陥ることもある。クライアント企業の極めてシンプルな経済合理性であるQCDに適合させるための難しさが、B to Bの一つめの難しさなのである。


■B to BはDMU次第

QCDに続いてDMUもB to Bで極めて重要な要素だ。DMU=Decision Making Unit(購買決定単位)。企業がモノを購入する際の意志決定に関与してくる様々な人々のことである。
例えば、ある企業の部門が必要としている業務システムを納入しようとしよう。キーマンはその部門のシステム導入担当者だ。スムーズに導入し、業務成果が出ることが彼の関心事である。
ソリューション提案に対して最終的に決済をするのは彼のビジネスラインの上司だ。つまり、ディシジョンメーカー。金額と決済範囲で役職レベルは異なるだろうが、上司の関心事は導入成功や業務成果はアタリマエとして、いかに早く使い物になるかという納期に関心が高くなる。また、自分の決済額の中でいかにコスト効率がいいかも気になるので、投資対効果にも目を光らせている。
システム導入に影響を与える、インフルエンサー(影響者)という人々も登場する。ITのソリューションなら、そのシステムを保守・管理するIT部門の担当者が出てくるだろう。彼の関心事は、トラブルなく動き続けることである。また、業務システムであれば、その業務の経験が長い熟練者も強力なインフルエンサーだ。「そんなシステムじゃぁ、仕事は回らないよ」などといわれた日には!。そう言わせないためには、使い勝手や、きちんと成果が出るような品質が担保されていることが必要となる。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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