航海のメタファーで考える「自立と自律」

画像: John Jones

2018.03.25

組織・人材

航海のメタファーで考える「自立と自律」

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

仕事・キャリアの基本意識である「自立」と「自律」。これらを航海のメタファーでとらえてみる。

人生・キャリアを航海に喩えるとするなら、
あなたの船はどんな船だろうか?
(非力なゴムボート? それとも強力なエンジン付きの鋼鉄船?)
ぶれないコンパス(羅針盤)を持っているだろうか?
地図を持ち、そこには目的地が描かれているだろうか?


〈1〉「自立」フェーズ
まず、自らを職業人として「立たせる」段階です。職業人としての自立は、次の3つがあげられます。

 1)技能的自立
 2)経済的自立
 3)身体的自立

第一に「技能の自立」。誰しも入社したては先輩社員や上司から仕事のイロハを教えてもらい業務の方法を覚えます。そしてやがて仕事全体の流れや事業の仕組みを把握し、自分なりに改善点や新しい工夫を加えていけるようになります。これが技能的自立です。

次に「経済の自立」。たいていの人は、学校を卒業して就職すれば、当然、経済的に保護者から独立し、自分の収入で生計を立てることになります。人生のステージが進むにつれて、結婚や子どもの誕生、不動産購入などが予想されるため、それに合わせて家計のやりくりや貯蓄をしていかねばなりません。

3番目に「身体の自立」。他者の介助を受けずに、食べられる、歩ける、寝ることができる。こうした生活のことを一人できちんとできることは、自立の基盤を成す最も大事な部分です。健常者にとっては当たり前すぎて見過ごしがちですが、例えば交通事故で大けがをしてしまったり、メンタルヘルスを病んでしまったりすると、自立生活がとたんに脅かされることになります。


〈2〉「自律」フェーズ
次は、自分なりの律を持って、自分を「方向づけ」できる段階です。みずから立った後は、みずから方向づけして行動ができるようになる。この状態が「自律」です。1番目の自立が「外的な独立」とすれば、この自律は「内的な独立」と言ってもよいでしょう。

「あの人の判断・行動はぶれないね」と言うとき、何がそうさせているのでしょう。―――それはその人が内に持つ「律」です。さまざまな情報や状況に接したとき、律が判断基軸になります。

律は規範やルールということですが、それを確固として持つためには、自分なりの理念や信条、価値観、哲学を醸成しておく必要があります。自律はそのように意識やマインドといった内的領域にかかわるものです。

〈3〉「自導」フェーズ
最後は、おおいなる目的を設定し、その成就に向けて自らを「導く」ことのできる段階です。ここで重要な鍵となるのは、「自分の内にいるもう一人の自分」。この「もう一人の自分」が目的や理想、夢や志を抱いており、現実の自分を一段高いところから眺め、進むべき方向を示すはたらきをします。

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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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