同一労働同一賃金の実現で、非正規社員にもボーナス支給?

2017.11.09

経営・マネジメント

同一労働同一賃金の実現で、非正規社員にもボーナス支給?

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南青山リーダーズ株式会社

安倍晋三首相が国会で言明したことにより、同一労働同一賃金はにわかに現実味を帯びてきました。 根拠となる労働契約法、パートタイム労働法、労働者派遣法の3法を改正し、2019年度の施行を目指します。各企業ではそれまでに就業規則や賃金規定を改め、政府の定めたガイドラインに沿って実施できるよう準備に余念がありません。 同一労働同一賃金の〈2回目〉は、ほとんどの企業で正規社員と非正規社員の間に格差が生じている「手当」について見ていきましょう。

賞与(ボーナス)の支給はどうなる?

サラリーマンにとって最大の楽しみであり、いまや生活に組み込まれている賞与(ボーナス)。
賞与は支給額こそ確定していないものの、労働基準法上の賃金に相当します。だからこそ、住宅ローンを組む際や資金計算において、当たり前のように“ボーナス払い”が設定されているんですね。

ところが、同じ社員でも、正規社員である無期雇用のフルタイム労働者(以下、フルタイム労働者と表記)には賞与を支給する一方、非正規社員である有期雇用契約の労働者やパートタイム労働者(以下、有期雇用労働者等と表記)にはまったく支払われなかったり、雀の涙ほどの “寸志”を配るだけの企業が多くみられるのも事実です。

こうした格差を是正し、「有期雇用労働者等にも賞与を支給しなくてはならない」という考え方が、同一労働同一賃金の基本です。
賞与を大きく分けると次のようになります。
①従来型の一時金
基本給×何ヶ月分を年2回支払い → いわゆる「給与一時払い」というもの
②業績賞与
会社の業績や個人の業績による人事考課を反映したもの

政府のガイドラインによると、②の業績賞与について同一の貢献を行ったパートタイム労働者等には、フルタイム労働者と同一の基準によって支給をしなければならない、とされています。

ガイドラインに沿った賞与計算の例を見てみましょう。

マネセツ166(山本)同一労働同一賃金・手当編/図①

賞与のうち、業績にリンクして支払われる部分については、格差を設けてはならず、貢献に一定の違いがある場合は、その相違に応じて支給します。
職務内容や貢献にかかわらず、フルタイム労働者全員に賞与を支給している企業がパートタイム労働者等にまったく支給しない、というのは不適当となります。

その他の手当(諸手当)については?

【1.役職手当】
支店長、課長など、役職の内容や責任の範囲に応じて支払われるのが役職手当です。同一の役職や責任ある立場に就く労働者には、フルタイムやパートタイムにかかわらず、同一の役職手当を支給しなければなりません。

例えば、フルタイム労働者の店長と有期雇用労働者の店長がいたとします。
役職の内容・責任も同一である場合、有期雇用労働者の店長にフルタイム労働者の店長よりも低い額の役職手当を支給すると、同一労働同一賃金の考え方に反することになってしまいます。

【2.時間外労働手当、深夜・休日労働手当】
労働基準法ではパートタイム労働者について、フルタイム労働者の所定労働時間を超えて時間外労働を行った場合、割増賃金を払わなければならないと定めています(労働基準法第32条4の2)。
この場合、同一労働同一賃金の考え方では、フルタイム労働者の所定労働時間を超えた時間の割増賃金(例:時給×0.25増し)は、パートタイム労働者についても同一の割増率で計算をしなくてはならないのです。

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