歌舞伎町で学んだビジネス哲学

2017.04.04

組織・人材

歌舞伎町で学んだビジネス哲学

増沢 隆太
株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

新入生や新入社員を見ていて思ったこと。私は大学生のころ、長いこと新宿でアルバイトをしていました。そこで知合ったいろいろな人の中で、「人生」を教えてくれた人が一人います。夜の街・新宿で使い走りをしているバイトのアンちゃん(私)をかわいがってくれたチンピラのおっさんです。

「あの時、ああすりゃ良かった」という後悔は誰でもあるもの。長く人生やってればやってるほど、そうした後悔も多いのではないでしょうか。

私が長くアルバイトをしていた歌舞伎町のその店はすでになく、30年以上前にそこにいた人たちも、もはやどこでどうしているかもわからない、文字通り野垂れ死にしててもおかしくない人の集まりで、しっかりその一員を私も務めていました。

当時の住居、板橋の家賃19,000円のアパート暮らしというのは、さすがに昭和の時代であっても十分普通じゃない生活レベルです。牛丼おごってくれれば、ハイハイそのおっさんの使い走りを喜んでやってました。

その人と何度かマージャンをやったのですが、ボロ負けもボロ勝ちもしませんでした。でも麻雀後、喫茶店でコーヒーをおごってもらいながら、彼の人生を聞くわけです。
「いいか、アンちゃんら、賭けには『流れ』がある。それに乗れるか乗れないかが人生なんだ」なんだか当たり前のようなことをもっともらしく言ってます。
「人生には3回『勝負』時が来る。これ!と思った時だけが勝負じゃないんだ」ふむふむ、それはちょっと目からウロコですなぁ。
「過去を振り返っちゃいけねえ。死んだ子の歳を数えるな。その時避けられたのに避けなかった失敗だけを悔やめ。それ以外を悔やむのは無駄だ」

私はこの最後の教えを今でも守っています。「あの時このことがわかっていればもっと良い結果になったのに」という後悔は、自分の力で「その時点」において、上手くやることが出来たのであれば後悔、今だからわかるけど、「その時点」ではどうやっても上手くやりようが無かったのなら無視、ということです。

友達でも相談相手下手な人っていますよね。「こんなことになっちゃったんだけど、どうしたら良いだろう?」って相談してんのに「何でそんなことしちゃったんだ!」って過去の失敗の原因せんさくしかしない人。
今、そんなことほじくったって何の意味もないのに。今ほしいのは現状の、今目の前の困った事態を何とかしたいだけなのに。

「あの時」あっちを選んでおけば・・・・
仕事ではよくある後悔です。しかしチンピラのおっさんの名言に従って、出来ることはすべてやる、考えられることは全て考える、その上で決めたらもう迷わない。そこまでできなかった時は自分のせいだと思う。これで限りなく後悔は減ったと実感しています。


あの時の空間にいたことは、今となっては財産なのかも知れません。

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増沢 隆太

株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。

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