新社会人に贈る2014[上]~20代は「仕事との関わり方」が大事

画像: N.Muray

2014.03.24

組織・人材

新社会人に贈る2014[上]~20代は「仕事との関わり方」が大事

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

この春、新しく社会人となり晴れて職業を持つみなさん、おめでとうございます。前半は、「仕事の内容」は選べないが、「仕事との関わり方」は自分で決められるということをお話しします。

この春、新しく社会人となり、晴れて職業を持つみなさん、おめでとうございます。これから何十年と続く職業人生の出発にあたり、きょうは大きく2つのことをお伝えしたいと思います。

1)「仕事の内容」は選べないが、「仕事との関わり方」は自分で決められる
2)選択肢をつくり出し、「選べる自分」になっていくことが大事


◆「仕事との関わり方」の発展が自己を拡大・深化させる
みなさんはこの入社を勝ち取るために、それぞれに難しい就職活動を経られたと思います。なぜ就職活動が難しかったか。それは、就職が“正解のない問い”だからでした。高校や大学受験なら、正解値はあって、それを解く方法や記憶力を身につければ、おのずと結果は出ました。ところが希望の会社に入れてもらうためには、学力や学歴だけではどうにもならないところがあって、自分の全存在を懸けてアピールして、相手に受け入れてもらわねばならないのでした。就職戦はそういった“正解のない問い”の一つでもあるのですが、これはほんの序の口にすぎません。いよいよ社会の現場で働くとなれば、すべてが“正解のない問い”の連続と言っていいでしょう。ましてやそこに理不尽さやつまらなさが加わることもあります。しかし同時に、 “正解のない問い”に対する答えづくりは無限のおもしろさがあることも事実です。

さて、ともかく、みなさんは最初の会社に入った。これは言ってみれば、世の中にあまたある会社の中から「カタログ選び」をし、自分の潜在能力という資金で従業員になる権利を買ったにすぎません。肝心の「仕事をする」ことはいよいよこれから始まります。

みなさんは、新入社員研修が終わるやいなや、どこかの部署に配属され、担当業務が割り振られます。この瞬間から、みなさんには「仕事の内容」と「仕事との関わり方」という2つの問題が発生します。組織から雇われる生き方を選択した、いわばサラリーパーソンにとって、「仕事の内容」は選べません。人事権や業務命令権などによって、あなたのやる「仕事の内容」の大枠は組織が下すことになります。もちろん本人に多少の自由度はあって、仕事の創意工夫や方向感を出すことは自分がやれることですし、異動希望制度を通じて担当業務の変更を要求することもできます。ただ、やはり、あなたの「仕事の内容」の主導権は会社が握っていることを受け入れねばなりません。

しかし一方、これから詳しく述べる「仕事との関わり方」は、まったく本人の意志のもとに自由がきくものです。そして、この「仕事との関わり方」をどう発展させていくかこそ、「仕事の内容」よりも、職業人生にとって大きな影響を与えることになるのです。

私がここで触れたい「仕事との関わり方」には、3つの観点があります。

 1つめは「仕事の意識的拡張」
 2つめに「仕事への意味付与」
 3つめに「仕事のオーナーシップ」

◆「仕事を無事こなす」意識から「仕事をつくり出す」意識へ
まず「仕事の意識的拡張」について。私はおおまかに次のような段階でとらえます。

 〈ⅰ〉与えられた仕事を無事にこなす
 〈ⅱ〉与えられた仕事の中に改善点を見つけ、生産性を上げる
 〈ⅲ〉仕事をつくり出す
 〈ⅳ〉事業をつくり出す
 〈ⅴ〉雇用をつくり出す

みなさんは、ともかく最初の部署で懸命に仕事のイロハを覚えることに注力します。〈ⅰ〉段階であっぷあっぷの状態が半年や1年は続くでしょう。そこから次第に自分なりに担当業務への改善点が見えてきて、生産性を向上させようとする意識がはたらいてきます。それは自分の仕事に対し、目配り・手配りできる範囲が拡がったのです。これが〈ⅱ〉の段階です。

そしてさらに仕事との関わり方が進んでくると、自分がやるべき仕事をつくり出すようになります。所属する部署の課題、担当業務の課題が見えてきて、上司から言われずとも、新たにこういう動きをしよう、こういうアイデアを試みよう、既存にない方法を提案しよう、チームの中での自分の役割を拡げよう、何か目的をもったプロジェクトを立ち上げよう、といった働き方になります。これが〈ⅲ〉の段階です。この段階では、みずからの意志やアイデアを周囲に説明し、賛同者・協力者を得ながら仕事を動かしていくことが求められます。そこからさらに意識が拡がると、事業を打ち立てるという格段に大きな単位の挑戦に心が動いたり、「雇用をつくり出す」レベルにまでたどり着くこともあります。

自分が関わる仕事への意識をどこまで拡げていくか。これは各人が自由に設定できるものです。誰に言われるものでもありません、自分が決めるのです。私が企業現場で長年観察するところ、〈ⅱ〉段階止まりの人は多くいます。その中から〈ⅲ〉段階にいく人が何割か出てきます。そして一握りの人が〈ⅳ〉〈ⅴ〉へと上がっていきます。私はみなさんに、20代のうちに自分の仕事を能動的につくり出す〈ⅲ〉段階まで意識を拡張していけ、と申し上げたい。

なぜなら、〈ⅲ〉段階の意識で仕事と関わることで、仕事の深い喜びや持続的な成長が得られたり、それらの喜びを肚で知っている人たちと深いつながりができたりするからです。〈ⅱ〉段階止まりか、それとも〈ⅲ〉段階まで入っていくか、長き職業人生にあってこの差は天地雲泥の開きを生みます。〈ⅱ〉止まりの人には、「仕事は生計を立てるためにやるもので、言われた範囲のことはそこそこ頑張ってみるが、それ以上のことはやりたくない」「仕事におもしろみがないので、そこまで能動的になれない」「仕事以外の生活にエネルギーを使いたい」といったような、ある種の冷めた意識があるようです。

私はここで、「仕事好きになれ」と言いたいわけではありません。「一事が万事(いちじがばんじ)」と言いますが、仕事に冷めている人は、どこか人生にも冷めている人ではないでしょうか。仕事に手を抜く人は、生活でも手を抜いている人です。個人の趣味活動で第一級の楽しみ方をする人は、たとえ仕事が趣味をするための金稼ぎであっても、仕事をやはり第一級のやり方で処理しようとする人です。人がものごとに取り組む姿勢というのは一貫するものです。

また、いまの仕事がつまらないから能動的になれないという考え方に対して私は、〈ⅱ〉段階に留まっているから仕事がつまらないんでしょうと返答したい。〈ⅲ〉段階に上っていったなら、仕事の本当のおもしろさがにじみ出てきます。そしてその状態を続けていけば、おもしろい仕事を選べる自分に転換できるのです。“選べる自分になる”についてはこの後詳しく触れます。

◆仕事にどんな意味を与えられるか
「仕事との関わり方」の2つめの観点は「仕事への意味付与」です。みなさんは、最初に与えられる業務に対し、「これをなぜやるか?」「この業務は世の中の何につながっているか?」といったような意味を見出すことはできないかもしれません。ところがだんだん業務が一人前にこなせてくるころから、心に多少の余裕ができて、自分のやっている仕事に関し、「なんのため」という意味を考え始めることになるでしょう。

下の図は私が「働く動機の5段階」としてまとめたものです。ここで言う動機は、その仕事をやる意味とほぼ同じと考えてけっこうです。誰しも「なぜその仕事をやるのか」と問われて、「食うため=お金を得るためだ」というのは当然あります。それは働く理由として最もベースにあるものです。ですが、古くから「人はパンのみに生きるにあらず」と言われるように、人は働くことにそれ以上の意味を見出そうとします。「お金」以降の動機を、私は「承認」「成長」「共感」「使命」ととらえました。

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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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