なぜ?博多のうどん屋のおばちゃんは、あんなに元気なのか?

2014.01.07

営業・マーケティング

なぜ?博多のうどん屋のおばちゃんは、あんなに元気なのか?

中村 修治
有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

「秘密のケンミンSHOW」では、博多華丸大吉が、うどんのことを熱く語り。ありえんくらいの視聴率を「地元福岡で」たたき出したとか・・・。博多ならではのビジネス成功例を考察してみる。


①お母ちゃんの本領発揮説。

客は大きく2分できる。1つは、ロンリーなおっさん。ドライバーや営業マン。いつも無口。こんな客には、うどんを、どっか!と置いて、「ほい、ほい」と処理して食わせれば、お互いハッピー。あのテンションで圧倒されると、かえって癒される。

もう1つは、乳幼児を連れたママ。子供がはしゃぎまくり、食い物をこぼし、ママは怒鳴り散らし、いらいらする。その様子に、華麗に対応できるのも、やはりお母ちゃんを経験してきたおばちゃん。「ほい、ほい」とテーブルを拭き、座敷の上の子供椅子を移動させとっとと片づける。母としての力における圧倒的なベテランぶりを見られる。要は、うどん屋のフロアは、博多のお母ちゃん達がやってきたまんまを発揮できる舞台であるわけである。この昭和の家にいたような、母ちゃんが店内にいて、その圧倒感に客が惚れる。うどん屋はそんな究極の舞台を作っているようなものだ。自分の存在意義を確認しつづけてきた生き様から、ホールのオペレーションを回す事ほど楽しい事はない。終わった後の爽快感が病みつきになる。


②高い回転率≒うどんハイ説。

女性は忙しければ忙しいほどアドレナリンが出るのか、めっちゃ仕事ができるようになる。 短期目標の達成には、女性の方が適していると良く言われる。暇な店はやりがいもないし、時間が経つのがすごく長い気がするけれど、忙しいと時間が経つのがあっという間に感じられる。うどん屋は原価が安く、回転率が非常に高い。特に牧のうどんは、店舗の隣に製麺所を併設。ほぼ容赦なく麺がゆがかれ続け、釜に仕切りがあって、堅→中→柔と移され、それでも食べられなかったものが、お持ち帰り用の麺としてパックされる。つまり常に目の前に、いつもアツアツの在庫がある状態。それを秒単位で捌く。この仕事に対応するおばちゃんを見てて、いつも思い出すのが、餅つきをするときに餅を臼でひっくり返す人。この仕事は、おばちゃんしかできない。ずっとゾーンに入っている。うどんハイなのである。


③合理的なシフト制説。

資さんうどん新池店のオープニングスタッフ募集の内容を見てみる。●7:00~11:00 時給765円~●11:00~15:00 時給785円~●15:00~19:00 時給765円~●19:00~23:00 時給798円~×3h/998円×1h●23:00~3:00 時給865円~●3:00~7:00 時給765円~×2h/956円×2h24時間営業で6つのシフトに分けている。福岡のパート時給より若干高めになっているものの、特別高いわけではない。それよりも、細かく分けたシフト制に魅力がある。うどん屋さんに働いているおばちゃんたちの年齢は、比較的高い。子育てがひと段落した世代である。そういう世代は、働きに行こうと思った時にはあまり仕事がなく、家事と両立するべく「少しだけ働こうかしら」「深夜働こうかしら」と誰しもが思う。家事の延長線上にあるような仕事である上に、一般的には優遇されることのないおばちゃんたちの意思を汲み取ったようなシフト制。なので、労働力は豊富にある。その中から、スターのような「案内係」が産み落とされていく。


次々に入店するお客様。もうもうとする湯気。フロアに響き渡る「案内係」のおばちゃんの声。まるで我が子をあしらうようにメニューを捌いてくフロアのおばちゃんたち。両店舗とも忙しい時間帯の緊迫感はハンパない。文句言えない空気が充満している。そうそう、昭和のお母ちゃんたちが忙しい夕暮れの台所で出してた空気と同じである。反対に、それが癒されるのである。お客様扱いされた時点で、こちらのソウルは、冷めていくのである。博多でシャレオツなうどん屋さんが出店しては消えていく理由は、博多の人間にとって、うどんはそんなソウルフードであるからだ。

追記
このコラムの執筆にあたり次の方々にご協力をいただいた。
ありがとうございました。
株式会社GRACE CREAの清水麗子代表
http://www.gracecrea.jp/

株式会社ホスピタブルの松清一平代表
http://www.hospitable.co.jp/company

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中村 修治

有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。 その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。

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