「インサイト」は大きな気づきとは限らない

2012.09.14

営業・マーケティング

「インサイト」は大きな気づきとは限らない

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

「インサイト(洞察)」と聞くと、びっくりするような「ビッグアイディア」を着想する「素」のように感じますが、どちらかと言えば「コロンブスの卵」、すなわち、「言われてみればそうだな!」と腹落ちするような当たり前の「気づき」のことも多いのです。

KFS(Key Facters for Success)

になっているのだと思われます。

ただ、無料で提供するということは当然ながら教室側の持ち出しであり、利益率を下げることにつながっているのは間違いないわけです。(レッスン料金を高額にして、楽器代分を回収するようなことはしていない)

それでも、EYS創業社長の吉岡秀和氏は、

“損して得取る”

戦略をあえて採用したのだそうです。

なお、EYSでは、入会者に対し、毎回のレッスン後に必ずメールを送ること
に加えて、休んだ会員に対しては、

「講師直筆の手紙」

を送っているそうです。
(こうした丁寧な対応ができるのは、外部講師ではなく、ほとんどの講師を正社員として雇用しているからこそ徹底できることでしょう)

見込み客には、楽器無料プレゼントで入会のハードルを下げる。

そして、既存会員には、手間のかかるコミュニケーションをあえて行なうことで、講師との関係性を深めて退会率を下げる。

さらに、レッスン後にくつろげるスペースとして設置したラウンジでは、生ビールを1杯100円で提供して会員間のコミュニケーションを深めるようにしている。

どれも簡単にできそうで、実はそう簡単には実行できないことをきっちりやっているEYSは、今後、音楽教室業界を席巻するかもしれません。

EYS MUSIC SCHOOL
http://www.eys-musicschool.com/

*日経新聞本紙(2012/09/14)、日経産業新聞
 (2012/19/14)の記事を参考にしました。

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有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

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