「図解」から「図観」へ~概念を「マンダラ化」する

2012.07.16

仕事術

「図解」から「図観」へ~概念を「マンダラ化」する

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

【設問】「リスク(risk)」という概念をあなたなりに定義し、図に表現しなさい。───「図解」がひとつのリテラシーとして注目されつつあるが、ここでは、さらにその発展形として「図観」というものを「マンダラ」をキーワードに考えてみたい。

◆図解表現としての「マンダラ」
 「図解」という思考手法・表現手法が、ビジネス現場では、ひとつの重要なリテラシーとして認識されるようになってきた。
 私は1994年、当時、出版社で雑誌の編集に携わっていたが、「これからは、紙の上に文字と写真を載せて記事にしていればいい時代ではなくなる。モニターの画面上で情報を摂取するのが主流になるときに、どういった形の情報の表現が必要になってくるのか。受け手がもっと直観的に、インパクトをもって、内容を理解するための新しい表現として何が開発されるべきか」といった問題意識をもって、米国に留学をした。私は米国のグラフィックデザイン界で進む「情報の視覚化」の分野に身を置き、先進的な情報地図やダイヤグラム、モデル図などを研究した。

 さて、図解的表現の分布を整理すると下図のようになるだろうか。

 「地図・情報マップ」の世界はいまやどんどんその濃密化が進んでいる。カー・ナビゲーションシステムの画面にはより多くの情報が埋め込まれるようになっているし、「グーグル」などの地図にも店の情報やら広告情報が集積されている。 「ダイヤグラムやチャート」といった主に数量・時経変化を表す図もますます進化していて、そのデザインのよしあしはプレゼンテーションの印象を左右する大事な要素になっている。
 また、物事の原理となる構造や仕組みを表す「モデル図」は、CG(コンピュター・グラフィックス)の発展でますます複雑化する傾向にある。テレビ番組などを観ていても、たとえば、宇宙の構成や人体のメカニズムなどが動的なモデル図で描かれ、視聴者はとても容易に理解ができる。

 このように図解的表現は、それぞれの分野で進化を遂げているのだが、私はさらにここでもうひとつの分野を考えたいと思っている。───それは、「マンダラ」だ。
 「曼荼羅(まんだら)」とは、広辞苑の説明では、「諸尊の悟りの世界を象徴するものとして、一定の方式に基づいて、諸仏・菩薩および神々を網羅して描いた図」とある。歴史の教科書や博物館、寺院などで一度は目にしたことがあるかもしれない。具体的にどんな絵図だったかは、ネット検索で「曼荼羅」と入力すればさまざま出てくるのでそれを見ていただくとして、要は、曼荼羅は、ある観念世界を1枚の平面に抽象的に表したものである。
 曼荼羅は物事を図で可視化するという意味で、図解的表現の1つと言っていいだろう。そして構造や仕組みを表しているので、その中でも「モデル図」のようなものだ。が、曼荼羅はモデル図に比べ、より抽象度を高くし、より重層的にメッセージを加えていく濃密さを持っている。また、必ずしも明解さを追求するのではなく、「にじみ」や「ぼかし」といった受け手に解釈をさせる暗示的な部分を残す特徴がある。
 そういった意味で、「構造を明らかにするモデル図」に対し、「世界観を提示する曼荼羅」となるだろうか。そんな曼荼羅を、私は抽象化思考の表現法の1つとして、「マンダラ」と表記して転用したいと考えている。
 本記事で「マンダラ」とは、「概念あるいは概念を捉える世界観を一幅の絵図に収めたもの」と定義する。よいマンダラの要件として、私が挙げるのは次のようなものだ。

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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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