最後まで「名経営者:落合監督」

2007.11.03

組織・人材

最後まで「名経営者:落合監督」

寺西 隆行
(株)Z会

8回までパーフェクトピッチングをしていた投手に9回リリーフを送った落合監督ー。 一ファンとして、震えるシーンでもありましたし、個人の感情としてもそうして欲しかった、という想いでした。 “落合監督は名「雇われ経営者」”そんな記事を書かせて戴きましたので、今回の件について、触れないわけにもいきませんー。

デイトレーダー、つまり、今日買った株が儲かったらすぐ売るような株式売買をしているような株主が、「山井選手のパーフェクトを見たかったファン」、長期的に利益が出る会社体質を望み、長いスパンで利益が出ればよいと考えているのが、「日本一になるために最善の策を尽くしてほしい、と思っているファン」に例えられます(あくまでも私見ですが)。
その一瞬が貴重と考えるか、「その一瞬」を狙うが余りに長期的には損してしまうのを避けたいとするか。そのスタンスの違いですから。

デイトレーダーであろうと、長期保有株主であろうと、配当の権利を得られる日に株式を保有していれば、株主総会に参加し、意見を言えるわけです。
となれば、同じ「株主」という立場であり、「その会社のことを思って」意見するのであっても、短期的な利益を求めるか、長期的な利益を求めるか、投資のスタンスによって異なります。

ファンも同じです。山井選手のパーフェクトを見たい、が先か、日本一、が先か。
今回の落合監督批判論の中に「ファンはみんなパーフェクトを望んでいたのにっ!」のような述べ方をしている方もいらっしゃいますが、そんなことはありません。
日本一をナゴヤ球場で達成してほしい、その願いの方が強かった、一株主(=ファン)の僕のような人間がいるわけですから。

ともすれば「ファンはパーフェクトをみたいはず」というもっもらしい意見に流されそうになる立場なのに、流されなかった。これも経営者として素晴らしいと思います。

補足しておきますが、山井投手を続投させて欲しかった、という方を批判する気持ちは全くありません。一ファンとしてそういう気持ちはよくわかりますし、僕がナゴヤドームのあの場にいたら、「せっかくこの場にきたから」という思いが強くなり、きっと「日本一になる」という大きな目標を忘れ、「山井選手のパーフェクトを見たい!」という気分の方が強くなっていたでしょうから。

ただ、そのような方で、ファンを代表して「ファンならみんな~」みたいな言い方をされる方がいたら、それは違う、と思うだけです。
さらに言うなら、落合監督を批判するのも、また違います。(~して欲しかった、みたいに言うのであればいいのですが)
株式投資にしても自己責任でするわけですから、経営者がどのように判断しても、自己責任。それでどっちに転ぼうが、自己責任、ですよね。

3.「信念」にブレがなかった。

こちらの記事でも述べましたが、リーダーに一番大事なのは、「信念」。これにつきます。
野球の監督に当てはめれば、今回の「信念」は日本一。これは当然です。
そして「戦術」的な信念で、今年の中日の投手陣が目指してきた野球は
「接戦のときはなんとか8回までつなぎ、9回のアタマから岩瀬選手にスイッチできるように」
これに他なりません。
そのスタイルを最後の最後まで貫いた、本当に信念にブレがありませんでした。

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寺西 隆行

寺西 隆行

(株)Z会

文部科学省広報戦略アドバイザー 経済産業省「未来の教室」教育・広報アドバイザー 三島市GIGAスクール推進アドバイザー 等

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