新商品は誰がために?「生茶」と「エステー」の挑戦

2011.03.02

営業・マーケティング

新商品は誰がために?「生茶」と「エステー」の挑戦

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

 3月1日付・日本経済新聞消費面「New Face」欄に並んで掲載された2つの商品。そこから、企業のどんなメッセージが読み取れるだろうか。

 日本経済新聞に掲載されたもう1つの商品が、エステーの「天然ハーブの自動でシュパッと虫よけ」。商品の特徴としては、電池式で60日効果持続。「玄関などに置き、外からの虫の侵入を防ぐ」「殺虫剤成分の代わりに虫が嫌がる天然ハーブ」を使用したという。「エステーの虫除けって、“衣類に付く虫”じゃなかった?」と思った人は鋭い。エステーとフマキラーのコラボ商品である。エステーの芳香剤自動噴霧の技術+フマキラーの虫よけ剤の技術を用いた商品である。

 ポイントは消費者の「購買棄却理由の払拭」を徹底している点だ。
 従来のコンセント式でも60日以上の持続は可能であったが、常に電気を付けっ放しするのは抵抗感がある。しかし、付けたり消したりはめんどくさい。また、玄関にはちょうどいい所にコンセントがない場合も多い。フマキラーの虫除けにも電池式はあるが、常に通電状態で継続使用には向かない。そこでエステーの芳香剤に用いられている30分間隔自動噴霧だ。家の印象を左右する玄関に殺虫剤の匂いが漂う抵抗感も、ハーブの使用で払拭している。資本業務提携した両社初のコラボ商品としては、かなりの高得点だといえるだろう。

 新商品は消費者に向けてだけ上市されるのではない。市場のステークホルダーやDMU(Decision Making Unit:購買決定関与者)への働きかけも大きな目的となる。キリンビバレッジ「生茶ザ・スパークリング」は、とにかく目新しさをチャネルにアピールし、棚を確保する。フマキラー+エステーの「天然ハーブの自動でシュパッと虫よけ」は、資本提携効果を端的に株主に示すことが目的だ。
 商品(モノ)は単なる対価を得るための道具ではない。モノを通じてどのようなメッセージを、誰に届けて、どのように動かすべきなのかを精緻に設計することが欠かせないのである。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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