「マーケティング3.0」考-5

2011.01.08

営業・マーケティング

「マーケティング3.0」考-5

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これは、昨年(2010年)後半、メルマガ『スーパー広報術』に連載した記事を統合・一部リライトしたものです。なお、原書に基づいて執筆したため、翻訳版とは日本語の表現が若干異なっています。

「バリューシーカー」は、合理的な動機、効率向上、コスト削減にも役立つと
いう理由でグリーン製品を購入する人たち。つまり、グリーンマーケティング
に積極的ではあるものの、ただ環境保護に役立つという理由だけでは買わない。
普及理論では「アーリィ・マジョリティ(前期追随者)」に該当するでしょう。

「スタンダード・マッチャー」は保守的で、グリーン製品が広く利用されるよ
うになるまで様子見を決め込む人たち。スタンダード=標準となるまではなか
なか購入しようとしない消費者です。普及理論では、「レイト・マジョリティ
(後期追随者)」のセグメントに入るでしょう。

「コーシャス・バイヤー」は、最も保守的で懐疑的な人たち。グリーン製品な
んて、企業が売るためのまやかしなどと思っている人たちもここに含まれます。
普及理論では、「ラガーズ(遅滞者)」です。

企業がグリーンマーケティングに取り組む際には、こうした消費者心理に
基づくセグメントを意識する必要があります。

●「ありがとう」こそ最高の言葉

ちょっとうろ覚えで申し訳けないのですが、歌手・俳優の加山雄三さんが以前
どこかでおっしゃっていたことで今でも強く印象に残っている話があります。

それは、お客さんから頂く言葉で一番うれしいのは「ありがとう」という感謝
の気持ちを表す言葉だということです。加山さんのようなエンタテイナーだけ
でなく、様々な製品やサービスを提供する側にとって最高のほめ言葉は
「ありがとう」でしょう。

ちなみに、一般的な顧客満足度調査では、「とても(大いに)満足した」と
いった選択肢が最高ですね。しかし、実は、満足の先に、「感激した」あるいは
「感動した」というより高次の表現があります。そして、究極の満足に達した
顧客が発する言葉が「感謝したい」という表現なのです。

従来、満足度調査において、「感動した」「感謝したい」という表現を使用
するのはちょっとオオゲサかなと感じていました。しかし、近年はむしろ
積極的に取り込んでいくべきではないかと考えるようになってきました。

というのも、地球環境や社会の様々な問題解決に対して、自社の各種製品や
サービスを通じて貢献することを強く意識し始めた企業が増えているからです。

こうした地球・社会問題解決型の企業は、実際のところ、顧客から
「ありがとう」という言葉をもらうことが多くなっています。本当に困って
いたことが解決したり、ずっと望んでいたことが実現できた顧客の口から
思わずこぼれ出るのは、感謝の言葉になるのです。

次のページ●感謝される企業

続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。

Ads by Google

この記事が気に入ったらいいね!しよう
INSIGHT NOW!の最新記事をお届けします

松尾 順

有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

フォロー フォローして松尾 順の新着記事を受け取る

一歩先を行く最新ビジネス記事を受け取る

ログイン

この機能をご利用いただくにはログインが必要です。

ご登録いただいたメールアドレス、パスワードを入力してログインしてください。

パスワードをお忘れの方

フェイスブックのアカウントでもログインできます。

INSIGHT NOW!のご利用規約プライバシーポリシーーが適用されます。
INSIGHT NOW!が無断でタイムラインに投稿することはありません。