「釣女」「釣りガール」は本当に流行るのか?!

2011.01.05

営業・マーケティング

「釣女」「釣りガール」は本当に流行るのか?!

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

 年が明けて人も経済も本格的に動き出した。そこで、昨年の後半に各所から出された「トレンド予測」を改めてチェックしてみたい。筆者が注目したいのは、今年流行すると日経関連が推す「釣女」、もしくは「釣りガール」だ。

  さて、そろそろ「釣女」「釣りガール」が本当に流行るのかを考えてみよう。
 マーケティングの4Pで考えれば、製品(Product)は従来にない、女性受けするものが作られた。販売チャネル(Place)も子会社を使って積極的な展開を行なっている。広告・広報・販促(Promotion)は、日経関連に続き、産経関連の記事に載ったため、広報は効き始めているということだろう。価格(Price)は前述の通り、アジア勢に価格勝負をするのではなく、「高価値戦略」を取ることになる。それが受入れられるかがキモであるともいえるだろう。

 ごく一部の従来からの女性ファン以外は、女性にとって釣りは「生き物を相手にする」というという意味では、ランニングや登山以上に未知なる体験、イノベーションである。そこで、E.M.ロジャースの「イノベーション普及論」の普及要件で検証してみたい。

 1.相対優位性=今まで使っていたものと比べ、いかに優れているかが分かりやすいこと。
   今までの趣味との比較となるが、未知なる体験で楽しさを知れば優位性が理解できるだろう。
 2.両立性=当面は今まで使っていたものを捨てることなく、両立できること。
   今までの趣味との両立ということになるが、釣りは現地に行って時間をかけて獲物を手に入れるので、それなりに時間がかかる。無尽蔵に時間を持っている人はいないため、何らかの趣味とトレードオフの関係になるだろう。釣りの魅力が勝るかがカギだ。
 3.複雑性=理解できないほどの複雑性を持っていないことと、逆に当たり前に見えすぎない程度に複雑であるというバランス。
   未体験の女性からは、「釣りって難しそう」という意見も多い。その壁を越えることも欠かせない。
 4.試行可能性=本格的な導入の前に自ら触って効果を認識できること。
   上記の1~3の要件でも、まず「試す」ことが欠かせないことがわかる。また、一般に「釣れない釣りほど楽しくないものはない」ともいう。お試しで成功体験を得ることが必要だ。この要件が最もハードルが高いといえるだろう。
 5.観察可能性=目に見えない効果ではなく、効果が観察・実感できること。
   「魚が釣れなくとも自然に触れるだけで釣りは楽しい」という人もいる。しかし、やはり獲物を手にするという実感は大切だ。それが観察可能性に該当するだろう。やはり、どうやって成功体験を得るかにかかっている。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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