ひょっとして……“バブル組”に苦しめられていませんか?

2010.10.25

組織・人材

ひょっとして……“バブル組”に苦しめられていませんか?

ITmedia ビジネスオンライン
“ニュースを考える、ビジネスモデルを知る” ITmedia 編集部

昔に比べ「管理職の力が強くなってきた」と感じたことはないだろうか。部下の採用、配置転換、リストラなど……いろいろなところで強権を振るい始めている。しかしこうした動きに対し、「危険な兆候」と懸念する声も出始めている。それは……? [吉田典史,Business Media 誠]

 報道によると、この管理職は男性を厳しく指導したことがあるようだ。 仮にそれが事実であるならば、 部下が自閉症であったことをどこまで理解していたのだろう。 そして、それを踏まえた上での指導をしていたのだろうか。 これでは、管理職としてマネジメントに問題があったと批判を受けても、仕方がないだろう。

 さらに、管理職の権限がかつて(1980年代~1990年代後半までくらい)に比べると、強くなっていることも忘れてはいけない。この場合の権限とは、部下の採用、育成、評価、配置転換、さらにはリストラの指名なども含まれる。

  強い権限を持つ管理職から厳しく叱責を受ければ、ほとんどの社員は萎縮し、意気消沈していく。これらの権限は、以前は人事部に集中していた。しかしいまは、管理職が持ち始めている。人事部はそれを支援したり調整する、いわば“黒子”になっているのだ。特に、大企業でこの試みは進んでいる。

 こうした動きは、米国企業では早くから取り入れられてきた。従って、一部の識者は「人事のアメリカナイズ」と指摘する。確かに、アメリカナイズされていると思える一部のベンチャー企業は、それぞれの部署の責任者が強い権限を持ち、次々と意思決定をしていく。そのスピードは早く、職場の士気も高い。

 だが、私は、この動きを無条件で賛成しない。権限を強くする前に、管理職たちを教育し、一定の知識やモラルなどを身に付けさせることが先決なのではないか、と考えるからだ。

管理職の権限を強くするのは「危険な兆候」


 管理職のマネジメントに問題があると感じる事件は、2007年10月にも起きている。

 ある製薬会社に勤務していた男性(当時35歳)が、自殺をした。遺族は、その会社の最寄の労働基準監督署に労災を申請したが、認められなかった。遺族はその処分取り消しを求め、裁判に訴えていた。

 東京地裁では、裁判長が上司の部下への言動を「男性の人格、キャリアを否定する内容で過度に厳しい」と指摘した。そして、国(=労働基準監督署)に処分の取り消しを命じた。

 この一例だけですべてを判断するのは、無理がある。 だが、労働事件を取材すると、上司と部下とのあつれきの話をよく聞く。上司が社長のような強い権限を持ち、部下に退職を迫ることすらある。

  管理職などのミドル層の改革をテーマに活動をする人事コンサルタントの重光直之さん(ジェイフィールの執行役員)はこう答える。

 「私はミドル層の権限を強くすることに、必ずしも賛成しません。プレイングマネージャーが増えているなど、今のミドル層の置かれている状況は心得ています。しかし、権限を強くすれば業績が上がるとは言い切れない場合があります」

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