ニーズギャップに愚直に応えよ!焼きそばJANJANのヒミツ

2010.08.20

営業・マーケティング

ニーズギャップに愚直に応えよ!焼きそばJANJANのヒミツ

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

 大ヒット商品、エースコックのカップ焼きそば「JANJAN」が発売以来わずか半年で製品リニューアルをする。そこに隠されたワケとはなんだろうか?

 <2010年上半期のヒット商品がリニューアル発売!焼そばはモテる時代へ!味もカタチも新定番!!平成22年9月13日(月) 発売>(2010年8月18日・ PR TIMES)
 http://tinyurl.com/2addeoe

 世は夏祭り、盆踊りの季節である。地域の人々とともに踊るのもいいが、屋台も楽しみのひとつだ。金魚すくいや輪投げ、射的などの獲得系と双璧を為すのが食欲系。綿菓子、杏飴といったB級スイーツを楽しんだら、次はたこ焼きにしようか、お好み焼きか、はたまた焼きそばかと悩むところだ。
昨今のB級グルメブームでも人気の焼きそばを選択してみよう。パックに盛られた焼きそばを割りばしですくい取って食べるその時に、いつも去来する思いがないだろうか。「具が少ない…」と。
 具が少ない焼きそばは悲しい。かつてはタコがほとんど入っていないたこ焼きも見受けられたが、今日はなぜか「大ダコ入り」と看板を掲げた屋台が多く、本当にタコが大きいかどうかはともかく、スカはない程度には改善された。しかし、焼きそばは相変わらずだ。申し訳程度にキャベツかちらほら顔を見せる他は、目に鮮やかな紅しょうがのみ。もし、肉の切れ端が発見できたら、それは僥倖というものだ。それでも文句を言わないのは、屋台のおじさんがこわいから…だけではなく、「まぁ、屋台の焼きそばってこんなもんさ」という共通認識、お約束みたいなものが存在するからである。

 さて、話をエースコックのカップ焼きそば「JANJAN」に移そう。この商品の開発経緯とその特徴の詳細は、新発売時に分析を行った過去記事を参照いただきたい。
 <「若者の焼きそば離れ」対応?エースコックが成功したワケ!>(2010年4月23日)
 http://www.insightnow.jp/article/5248

 上記記事をサマリーすると、以下の通りだ。
 ・エースコックは10~20代のカップ焼きそばの食用率が低下しているという事実をつかんだ。
 ・その理由は、容器の形状に大きな問題があり、若年層には「持ち運びが面倒」「容器が大きくて食べにくい」パソコン操作などをしながらの「ながら食べ」ができないという不満があった。
 ・さらに、若年層の嗜好に合わせて、味付けソースを添付するだけでなく、麺の中にソースを練り込んで「濃い味付け」にするほか、歯に付くので抵抗があるという「青のり」をあえて「かやく」に加えず、代わりに黒こしょうのスパイスを添付した。
 ・結果として、若年層ユーザーの取り込みに成功し、「焼きそばUFO」「 一平ちゃん夜店の焼そば」「ペヤングソースやきそば」といった従来のトップブランドの一角に食い込む販売成績を記録している。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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